ロゴや画像の商標調査を徹底解説|リスク回避のための実践手順
目次
新しいロゴやサービスのデザイン、自信を持って発表したいですよね。でも、「これって、もし他の会社と似ていたらどうしよう?」「知らないうちに誰かの商標を侵害してしまったら…」そんな不安を感じていませんか?
せっかくの努力が無駄になったり、予期せぬトラブルに巻き込まれたりするのは避けたいものです。ご安心ください。この記事では、あなたのブランドを守るために欠かせない「画像を使った商標調査」の方法を、初心者の方でもわかるように丁寧に解説します。
具体的な調査の手順から、役立つツール、そして注意すべきポイントまで、実践的な情報が満載です。これを読めば、意図せぬリスクを避け、大切なブランド価値をしっかり守りながら、あなたのビジネスを力強く成長させられるはずです。
この記事は以下のような人におすすめ!
- 商標調査をしないと、どんな危険があるのかがわかります。
- ロゴや画像の商標(図形商標)の基本的な考え方を理解できます。
- 無料ツール「J-PlatPat」を使った具体的な調査手順が身につきます。
- より正確に、効率よく調査を進めるための方法がわかります。
- 調査結果を正しく判断するためのポイントと注意点が身につきます。
- 調査結果に応じて、どう行動すべきか具体的な対応策を理解できます。
記事を読み終える頃には、ロゴや画像の商標調査をマスターし、意図せぬリスクから自社のブランドを守り、安心してビジネスを成長させられるようになります。
この記事の監修者
岩原 将文
株式会社IP-RoBo(TM-RoBo運営会社) CEO 弁護士
主として、特許、著作権その他の知的財産権に関する相談、契約、訴訟等を行う。大学・大学院時代には、機械学習に関する研究を行っていた。
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ロゴや画像の商標調査はなぜ必要?怠ることで生じる3つの重大リスク

事業を始める際、魅力的なロゴや画像はブランドの顔となります。しかし、安易にデザインを使用すると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
知らないうちに他社の権利を侵害してしまう可能性
商標法では、同一または類似の商品・役務について、他人が既に登録している商標と同一または類似の商標を使用することを禁止しています(商標法第25条、第37条)。特に、ロゴや画像は視覚に訴えるため、類似性が認められやすい傾向があります。
例えば、あなたが開発した新商品のロゴが、既に登録されている他の企業のロゴと形や色合いが似ていた場合、意図せずとも商標権侵害にあたる可能性があります。この侵害は、知らず知らずのうちに発生してしまうことが、このリスクの恐ろしい点です。
このようなリスクを回避するためには、事業開始前に専門機関による商標調査が不可欠です。特許庁が提供する「画像意匠公報検索支援ツール(Graphic Image Park[GrIP])」などを活用することで、類似のロゴや画像がないかを確認できます。このツールでは、画像を入力し、「形+色」や「形」などのモードを選択して検索が可能です。
詳しくはこちら
事業の根幹を揺るがす差し止め請求や損害賠償
商標権侵害が認められた場合、権利者から商標の使用差し止め請求を受けることになります。これは、広告宣伝物、商品パッケージ、ウェブサイトなど、商標権を侵害しているロゴや画像を使用している全ての媒体からの削除を意味します。事業の根幹に関わる部分への影響は甚大です。
さらに、商標権者に対して損害賠償を支払う義務が生じる可能性もあります。商標法第38条では、商標権侵害によって生じた損害の賠償額について定められています。損害額は、権利者の逸失利益や侵害品の販売価格の一定割合(通常は売上額の10%以下)などが考慮されますが、事業規模によっては数百万、数千万円に及ぶことも少なくありません。
例えば、人気商品のパッケージに無断で他社の登録商標と類似する画像を使用していた場合、その商品の製造・販売停止に加え、多額の損害賠償を請求されるリスクがあります。このような事態を防ぐためにも、事前の徹底した商標調査が重要となります。
ブランドイメージの毀損と信頼の失墜
商標権侵害による差し止め請求や訴訟沙汰は、企業の評判に深刻なダメージを与えます。「模倣品を販売している」、「コンプライアンス意識が低い」といったネガティブなイメージが広がり、顧客からの信頼を失う可能性があります。
一度失ったブランドイメージや信頼を取り戻すのは非常に困難であり、長期的な事業成長に大きな障害となります。特に、現代はSNSなどを通じて情報が瞬時に拡散されるため、不祥事の早期発見と対応が求められます。
ロゴ・画像の商標調査を始める前に|図形商標と調査の基本を解説

調査対象となる「図形商標」とは?文字商標との違い
商標調査において、ロゴや画像といった「図形商標」は、文字のみの「文字商標」とは異なるアプローチが必要です。図形商標は、視覚的な特徴を持つ商標であり、その形状、色彩、構成要素などが登録の可否や他者の権利侵害の有無を判断する上で重要となります。
例えば、リンゴのイラストに「Apple」という文字が付く場合、文字商標としての「Apple」と、リンゴのイラストという図形商標の両方で調査が必要になることがあります。
調査の鍵を握る「ウィーン図形分類」をわかりやすく解説
図形商標の調査を効率的に行うためには、「ウィーン図形分類」という国際的な分類システムが不可欠です。これは、図形商標をその形状や内容に基づいて体系的に分類したもので、類似する図形商標を検索する際の強力なツールとなります。
例えば、動物のイラストであれば「動物」のカテゴリーに、乗り物であれば「乗り物」のカテゴリーに分類され、調査対象を絞り込むことができます。この分類は、特許庁が定める「商標登録の手続に関する規則」にも関連しており、調査実務において広く活用されています。
商標調査の全体像と基本的な流れ
商標調査は、自社のブランドを守り、他者の権利を侵害しないために非常に重要なプロセスです。まず、調査対象となる商標(ロゴや画像)を明確にし、どのような商品・役務(サービス)で使用するのかを特定します。次に、特許庁のデータベースやINPITのツールなどを活用し、類似する商標が存在しないかを調査します。この際、文字商標だけでなく、図形商標についても、ウィーン図形分類などを参考に網羅的に調査することが肝要です。
最終的に、調査結果を分析し、登録の可能性やリスクを判断した上で、必要に応じて弁理士などの専門家に相談することが推奨されます。
【初心者向け】J-PlatPatを使った無料の画像商標調査マニュアル

「うちのロゴ、他と似ていないかな?」、「新しい商品に使うマークが、実は誰かの権利を侵害していたらどうしよう…」、そんな不安を抱えているビジネス担当者や経営者の皆様へ。この記事では、無料で利用できる特許庁のデータベース「J-PlatPat」を使って、ロゴや画像の商標調査を実践する手順を、初心者の方にも分かりやすく解説します。意図せぬ商標侵害リスクを回避し、大切なブランド価値をしっかりと保護しながら、安心して事業を成長させるための第一歩を踏み出しましょう。
- STEP1: J-PlatPatの「図形等商標検索」にアクセスする
- STEP2: ウィーン図形分類コードを特定する【探し方のコツも解説】
- STEP3: 図形分類コードを入力して検索を実行する
- STEP4: 検索結果のどこを見る?確認すべき4つの重要ポイント
STEP1: J-PlatPatの「図形等商標検索」にアクセスする
まずは、商標調査の心臓部とも言える、特許庁の「J-PlatPat」にアクセスします。ここでは、ロゴやイラストといった「図形」を含む商標を検索するための機能を使います。J-PlatPatのトップページから「商標・意匠」の項目に進み、「図形等商標検索」を選択してください。この機能を使えば、画像そのものの類似性も考慮した検索が可能になります。
詳しくはこちら
特許庁のJ-PlatPatサイトでご参照ください。
STEP2: ウィーン図形分類コードを特定する【探し方のコツも解説】
図形商標の調査で最も重要なのが、「ウィーン図形分類コード」です。これは、ロゴやデザインを国際的に定められた記号で分類するもので、このコードを使って検索することで、類似した図形商標を効率的に見つけ出すことができます。しかし、このコードの特定が初心者には少し難しいと感じるかもしれません。そこで、探し方のコツをいくつかご紹介します。
ロゴの構成要素(モチーフ)を分解して考える
あなたのロゴを、いくつかのシンプルな要素に分解してみましょう。例えば、「リンゴ」のロゴであれば、「果物」「丸い形」「葉っぱ」といった要素です。それぞれの要素が、ウィーン図形分類コードのどのカテゴリーに該当するかを想像しながら、コード表を紐解いていきます。例えば、「果物」は「01」のカテゴリー、「丸い形」は「02」のカテゴリーに属することが多いです。
STEP3: 図形分類コードを入力して検索を実行する
特定したウィーン図形分類コードを、J-PlatPatの「図形等商標検索」画面に入力します。複数のコードを組み合わせて検索することも可能です。例えば、あなたのロゴが「リンゴ(コード:*5.7.13)」と「葉っぱ(コード:A5.3.14 一枚の葉)」で構成されている場合、これらのコードを組み合わせて検索することで、より精度の高い結果を得られます。検索ボタンをクリックすると、類似する図形商標のリストが表示されます。このリストが、あなたの調査の成果となります。
STEP4: 検索結果のどこを見る?確認すべき4つの重要ポイント
検索結果が表示されたら、一つずつ丁寧に確認していきましょう。特に注意すべきは、以下の4つのポイントです。
商標画像(図形)の類似性
まず、最も基本的な確認事項です。検索結果に表示された商標の図形が、あなたのロゴと視覚的にどれくらい似ているかを確認します。「見た目がそっくり」はもちろん、「一部が似ている」、「全体的な印象が似ている」場合も注意が必要です。商標法第4条第1項第11号では、類似商標の登録が拒絶される旨が定められています。見た目の類似性は、侵害リスクを判断する上で非常に重要な要素となります。
指定商品・役務(サービス)の範囲
商標は、特定の「商品」や「サービス」に対して登録されます。たとえロゴが似ていても、指定されている商品・役務が全く異なれば、原則として商標権の侵害にはあたりません。例えば、あなたが「アパレル商品」で「リンゴのロゴ」を使いたい場合、「食品」を指定商品とする「リンゴのロゴ」の商標が登録されていたとしても、直ちに侵害となる可能性は低いです。しかし、指定商品・役務が近接している場合は、混同のおそれがないか慎重に判断する必要があります。
称呼(読み方)や観念(イメージ)の類似性
商標は、図形だけでなく、その「読み方(称呼)」や「イメージ(観念)」も考慮されます。たとえロゴの形が多少異なっていても、読み方やイメージが類似していると、消費者が混同するおそれがある場合は、類似商標とみなされることがあります。例えば、同じ「リンゴ」をモチーフにしたロゴでも、「Apple」と「Ringo」では称呼も観念も異なります。しかし、もしあなたのロゴが「赤くて丸い果物」というイメージで、相手のロゴも「赤くて丸い果物」というイメージで、かつ称呼も似ている場合は、類似性が高まると判断される可能性があります。
出願状況(ステータス)の確認
検索結果には、各商標の出願状況(ステータス)が表示されます。「登録」となっているものはもちろん、「出願中」であっても、将来的に権利を取得する可能性があるため、注意が必要です。特に、出願から登録までの期間は、申請時期や審査状況によって変動します。例えば、出願から登録まで平均して7ヶ月〜10ヶ月かかることが多いですが、早期審査制度を利用すれば、より短期間で結論が出ることもあります。「拒絶理由通知」が出ている場合でも、その後の対応次第で登録に至る可能性もあるため、安易に判断せず、慎重に確認することが大切です。
詳しくはこちら
特許庁の早期審査制度をご参照ください。
調査の精度と効率を上げるには?専門ツールと調査サービスの活用法

ロゴや画像を用いた商標調査は、意図しない商標侵害リスクを回避し、自社のブランド価値を守るために非常に重要です。しかし、手作業での調査には限界があり、時間も労力もかかります。そこで、調査の精度と効率を格段に向上させるための、専門ツールと調査サービスの活用法をご紹介します。
弁理士・特許事務所に依頼する有料の商標調査サービス
より専門的で確実な調査を求める場合、弁理士や特許事務所が提供する有料の商標調査サービスが有効です。これらのサービスでは、経験豊富な専門家が、最新のデータベースや独自のノウハウを駆使して、法的な観点から商標の類似性や登録可能性を詳細に調査します。
商標法第4条第1項第11号では、「商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」は登録できないと定められています。専門家は、この法令に基づき、単なる見た目の類似性だけでなく、指定商品・役務との関連性、混同のおそれなどを総合的に判断します。
調査費用は事務所や調査範囲によって異なりますが、一般的には数万円から数十万円程度が目安となります。例えば、ある特許事務所では、国内商標調査(画像・指定商品・役務指定)を1件あたり3万円(税抜)から提供しています。(具体的な料金体系は各事務所にご確認ください。)専門家による調査は、将来的な商標紛争のリスクを最小限に抑え、安心して事業を展開するための強力なバックアップとなります。
無料調査と有料調査の使い分け|どちらを選ぶべきかの判断基準
商標調査には、無料で行えるものと有料のものがあります。どちらを選ぶべきかは、調査の目的、予算、そしてリスク許容度によって判断します。無料調査としては、J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)の簡易検索機能があります。これらは、基本的な類似商標の有無を自分で確認するのに役立ちます。しかし、無料調査では、専門的な法的判断や、見落としのリスクが伴います。
特に、新規事業の立ち上げでブランド名を確立したい場合、商標登録を目指しており拒絶理由を避けたい場合、海外展開を視野に入れており国際的なリスクも考慮したい場合には、有料の専門調査サービスを利用することを強く推奨します。有料調査は、専門家による網羅的かつ法的な分析により、より高い精度でリスクを回避し、ブランド価値の保護に繋がります。初期投資として費用はかかりますが、将来的な紛争やブランドイメージの低下といったより大きな損失を防ぐための、賢明な選択と言えるでしょう。
商標調査の精度を高めるコツと見落としがちな注意点

「類似」の判断はどこまで?判断に迷った時の考え方
商標調査で最も重要なのは「類似」の判断です。類似商標とは、外観・称呼・観念のいずれか一つでも類似している商標を指します。例えば、似たようなデザインのロゴや、発音が似ている商品名などが該当します。商標法第2条第1項では、商標の定義が定められています。商標法第2条第1項によれば、商標とは「人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの」であって、業として商品や役務について使用するものをいいます。この定義に基づき、類似性があると判断されれば、商標権侵害となる可能性があります。
判断に迷った場合は、以下の点を考慮すると良いでしょう。
- 外観の類似性:見た目がどれくらい似ているか
- 称呼の類似性:声に出した時の響きがどれくらい似ているか
- 観念の類似性:意味合いやイメージがどれくらい似ているか
これらの要素を総合的に判断し、一般消費者が混同する可能性があるかどうかを検討します。もし判断が難しい場合は、専門家である弁理士に相談することをおすすめします。
文字と図形が組み合わさった「結合商標」の調査方法
ロゴマークのように、文字と図形が組み合わさった「結合商標」の調査は、より慎重に行う必要があります。結合商標の場合、文字部分のみ、図形部分のみ、あるいはその両方が類似していると判断される可能性があります。そのため、単に文字だけで検索したり、図形だけで検索したりするだけでは不十分です。
商標特許法第4条第1項第11号では、先願に係る他人の登録商標と同一又は類似の商標であって、その指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものについて規定されていますので、類似商標の判断においても、この精神は重要です。
調査結果は完璧ではない!専門家に相談すべきケースとは
商標調査は、自社の権利を守り、他社の権利を侵害しないために不可欠なプロセスです。しかし、調査結果が常に完璧であるとは限りません。特に、以下のようなケースでは、専門家である弁理士に相談することを強く推奨します。
- 調査範囲が広すぎる、または狭すぎる場合: 国内外の商標を網羅的に調査する必要がある場合や、特定の地域・商品・役務に限定した調査で不安がある場合。
- 類似商標の判断が難しい場合: 文字と図形の組み合わせが複雑な場合や、商品・役務の類似性が判断しにくい場合。
- 過去の類似商標に関する訴訟事例などを詳しく知りたい場合: 過去の裁判例や審決例を参考に、より精度の高い判断を求める場合。
- 商標登録の出願手続きをスムーズに進めたい場合: 調査結果を踏まえ、効果的な出願戦略を立てたい場合。
商標法第4条第1項第11号にもあるように、他人の商標と類似する商標は登録できません。しかし、類似性の判断は非常に難しく、専門的な知識が求められます。弁理士に相談することで、最新の法令や判例に基づいた的確なアドバイスを受けられ、思わぬ商標侵害リスクを回避し、安心して事業を成長させることができます。相談料は一般的に数千円から数万円程度ですが、将来的なリスクを考えれば、決して高額な投資ではありません。
調査結果が出たらどうする?ケース別の対応方法

商標調査を行い、類似するロゴや画像が見つかった場合、そのまま出願を進めるのは非常にリスクが高いです。意図せず他社の権利を侵害してしまうと、損害賠償請求や使用差止請求を受ける可能性があり、ブランドイメージを大きく損なうこともあります。ここでは、調査結果に応じた具体的な対応方法を、法令と実務情報を交えて解説します。
ケース1:類似する商標が見つからなかった場合【商標出願へ】
商標調査の結果、類似するロゴや画像、そして指定する商品・役務(サービス)との関連で抵触するものが特段見つからなかった場合、これは非常に良い状況と言えます。この段階で、商標登録の可能性は高いと判断できます。ただし、調査はあくまで現時点での情報に基づくものであり、将来的に新たな類似商標が出現しないとは限りません。しかし、現時点でのリスクが低いと判断できるため、この機会に「商標出願」を進めるのが賢明な選択となります。
商標出願は、特許庁に対して行います。出願が受理され、審査を経て登録となれば、その商標を独占的に使用する権利を得ることができます。出願手数料は、3,400円+(区分数×8,600円)です(1区分の場合:12,000円)。
詳しくはこちら
特許庁ウェブサイトで出願手続きをご参照ください。
ケース2:類似する商標が見つかった場合【専門家への相談と対応策】
商標調査で類似するロゴや画像が見つかった場合は、慎重な対応が必要です。そのまま出願を進めると、拒絶査定を受ける可能性が高まります。このようなケースでは、安易な判断を避け、まずは弁理士などの商標専門家へ相談することを強くお勧めします。専門家は、類似性の判断や、今後の具体的な対応策について、法的な観点からアドバイスをしてくれます。以下に、考えられる対応策をいくつかご紹介します。
ロゴデザインの変更を検討する
調査で類似するロゴや画像が見つかった場合、最も直接的な解決策は、自社のロゴデザインを変更することです。特に、類似性が高いと判断された場合は、デザインの要素(色彩、形状、文字など)を大幅に見直す必要があるでしょう。
指定商品・役務の範囲を見直す
類似する商標が見つかった場合でも、その商標が登録されている指定商品・役務(サービス)の範囲と、自社が使用しようとしている商品・役務の範囲が異なる場合があります。商標権は、登録された商品・役務の範囲内でのみ効力を持ちます(商標法第2条第2項)。もし、類似商標が登録されている商品・役務と、自社が使用する商品・役務との間に「混同のおそれがない」と判断できるほど隔たりがあれば、商標登録が可能になるケースもあります。この「混同のおそれ」の判断は非常に専門的であり、弁理士などの専門家のアドバイスが不可欠です。例えば、あるロゴが「衣料品」で登録されている場合、自社が「食品」に使用するのであれば、混同のおそれは低いと判断される可能性があります。
先行商標の有効性を確認する(不使用取消審判など)
調査で見つかった類似商標が、実際に現在も使用されているかどうかの確認も重要です。商標法第50条には「不使用取消審判」という制度があります。これは、登録された商標が、登録の日から3年以上継続して使用されていない場合に、取消を請求できる制度です。もし、調査で見つかった類似商標が長期間使用されていないようであれば、この不使用取消審判を請求し、相手方の商標登録を取消すことで、自社の商標登録の道を拓くことができる可能性があります。ただし、この審判請求には証拠収集など専門的な知識と手間が必要です。そのため、この対応策についても、弁理士などの専門家へ相談することをお勧めします。
まとめ:事前の商標調査で、自社のブランド価値を確実に守ろう

ここまで、ロゴや画像を用いた商標調査の重要性、具体的な手順、そして活用できるツールについて解説してきました。事業の成長とともに、自社のブランドイメージはかけがえのない資産となります。しかし、意図せずに他社の商標権を侵害してしまうリスクもゼロではありません。
商標法では、他人の登録商標と類似の商標を、指定商品・役務(サービス)またはこれらに類似する商品・役務(サービス)について使用することを禁止しています(商標法第37条1号)。これに違反した場合、損害賠償請求や差止請求を受ける可能性があり、ブランドイメージの失墜にもつながりかねません。
そのため、商品やサービスの提供を開始する前に、必ず専門家(弁理士など)に相談するか、ご自身で徹底的な商標調査を行うことが不可欠です。特に、ロゴや画像といった視覚的な要素を含む商標は、文字商標以上に調査が複雑になる傾向があります。
商標調査は、単にリスクを回避するだけでなく、自社のブランドが社会に認知され、価値を高めていくための土台作りでもあります。事前の調査を怠らず、安心して事業を拡大していきましょう。
よくある質問
- Q1: J-PlatPatでの調査は難しそうです。自分だけで完璧にできますか?
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J-PlatPatは無料で使える優れたツールですが、「図形等分類」の選定など専門知識が必要なため、初心者には難しい面もあります。記事で紹介した手順で基本的な調査は可能ですが、100%の精度を保証するものではありません。ビジネスの根幹に関わる重要なロゴの場合は、見落としリスクを避けるため、弁理士などの専門家への相談も検討しましょう。
- Q2: 調査で似ているロゴが見つかりました。もうこのデザインは使えないのでしょうか?
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すぐに諦める必要はありません。似ているように見えても、登録されている商品やサービス(区分)が自社の事業と全く異なれば、問題なく使える可能性があります。また、デザインのどの部分が似ているかによっても判断は変わります。まずは専門家に調査結果を見せて、専門的な見解を聞くことをおすすめします。
- Q3: ロゴの商標調査には、どれくらいの費用がかかりますか?
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ご自身でJ-PlatPatを使って調査する場合は無料です。より高機能な有料の調査ツールは月額数万円からが一般的です。弁理士などの専門家に調査を依頼する場合、調査の範囲にもよりますが、数万円から十数万円程度が目安となります。確実性を求めるなら、専門家への依頼が最も安心できる投資と言えるでしょう。
- Q4: ロゴデザインを少しだけ変えれば、似ている商標があっても問題ないですか?
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安易な変更は危険です。色を変えたり、一部の線を変更したりするだけでは、全体的な見た目や与える印象が似ていると判断され、商標権の侵害と見なされる可能性があります。「似ているかどうか」の判断は専門的な知識を要するため、変更を検討する場合も、変更後のロゴで再度しっかり調査を行うことが重要です。
- Q5: 商標調査は、いつのタイミングで行うのがベストですか?
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ロゴデザインが完成し、実際に使い始める前、できればデザイン案が固まった段階で調査を行うのが理想的です。ウェブサイトや印刷物を作成した後に問題が見つかると、修正に大きなコストと時間がかかってしまいます。事業計画の早い段階で調査を組み込むことで、商標の重複採択の手間を防ぎ、安心してビジネスを進められます。
- Q6: 文字とロゴを組み合わせたデザインの場合、どちらを優先して調査すべきですか?
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文字(ネーミング)と図形(ロゴマーク)の両方を調査することが不可欠です。どちらか一方でも他社の登録商標と似ていると判断されれば、商標権の侵害になる恐れがあります。まずは文字の調査で同じ名前や似た響きのものがないかを確認し、次に図形の調査を行うというように、両方の側面からしっかりと確認しましょう。
参考文献
- https://www.jpo.go.jp/system/trademark/index.html
- https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
- https://www.graphic-image.inpit.go.jp/
- https://www.inpit.go.jp/katsuyo/index.html
- https://www.jpaa.or.jp/intellectual-property/trademark/
- https://www.inpit.go.jp/j-platpat_info/reference/index.html
- https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/kijun/index.html