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団体商標登録とは?通常の商標との違いと登録要件をやさしく解説

目次

    業界団体や事業協同組合で統一のマークやロゴを作り、構成員となる会員企業に使わせたいと考えていないでしょうか。団体の商標登録には、通常の商標登録とは別に「団体商標」という専用の制度が用意されています。本記事では、団体 商標登録を検討している団体の担当者に向けて、商標法第7条にもとづく団体商標の登録要件、地域団体商標との違い、出願手続と費用、出願前に必要な商標調査までを、条文と特許庁の公式情報を根拠に解説します。

    この記事は以下のような人におすすめ!

    • 業界団体や事業協同組合で統一のブランドを商標登録したい人
    • 団体商標と地域団体商標の違いを整理したい人
    • 団体商標の出願要件や必要書類、費用を知りたい人

    記事を読み終える頃には、自団体が団体商標と地域団体商標のどちらに該当するかを判断し、出願に向けた準備を進められるようになります。

    この記事の監修者

    岩原 将文

    株式会社IP-RoBo(TM-RoBo運営会社) CEO 弁護士

    主として、特許、著作権その他の知的財産権に関する相談、契約、訴訟等を行う。大学・大学院時代には、機械学習に関する研究を行っていた。

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    WEB:https://ip-robo.co.jp/

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    団体商標登録とは?制度の概要と具体例

    最初に、団体商標という制度の目的と仕組みを整理します。通常の商標登録との違いを押さえることが、自分たちの団体に適した出願形式を選ぶ第一歩になります。

    団体商標制度の目的と仕組み(商標法第7条)

    団体商標とは、一般社団法人や事業協同組合などの団体が、その構成員に使用させる商標として登録できる商標です。根拠となる商標法第7条は、「一般社団法人その他の社団(法人格を有しないもの及び会社を除く。)若しくは事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除く。)又はこれらに相当する外国の法人」が団体商標の商標登録を受けられると定めています。通常の商標が「自己の業務」に使う商標を保護するのに対し、団体商標は「団体に所属する構成員の業務」に使わせる商標を保護する点が制度の核心です。団体全体の信用を1つの商標に蓄積できるため、業界団体の統一ブランドづくりに適しています。

    詳しくはこちら

    e-Gov法令検索「商標法(第7条)」をご確認ください。

    団体商標の具体例

    団体商標の典型例は、業界団体が定める認定マークや組合の統一ブランドです。たとえば同業者で組織する事業協同組合が共通ロゴを登録し、組合員がそれぞれの店舗や商品に表示するケースが該当します。農業協同組合が産品ブランドを構成員の農家に使わせる場合や、士業団体が会員向けの資格表示マークを管理する場合も団体商標の活用場面です。構成員は団体の定めるルールに従って同じ商標を使用するため、需要者から見ると「そのマークが付いていれば団体の会員である」という信頼の目印として機能します。個別企業のブランドではなく、団体全体の信用を示す点が特徴です。

    通常の商標登録との3つの違い

    団体商標と通常の商標登録の違いは、主体・使用者・提出書類の3点に整理できます。第一に、出願できる主体が一般社団法人や事業協同組合などの団体に限られ、株式会社などの会社は団体商標の出願人になれません。第二に、商標を実際に使用するのは団体自身に加えて構成員であり、商標法第7条第2項は登録要件の判断で「自己又はその構成員の」業務を基準にすると定めています。第三に、出願時には出願人が第7条第1項に規定する法人であることを証明する書面の提出が必要です(商標法第7条第3項)。登録後の存続期間や更新の仕組みは通常の商標権と共通で、商標法第19条により設定登録の日から10年、更新登録の申請により何度でも更新できます。

    詳しくはこちら

    e-Gov法令検索「商標法(第7条・第19条)」をご確認ください。

    団体商標と地域団体商標の違い

    団体の商標登録には、団体商標のほかに地域団体商標という制度もあります。名称が似ているため混同されやすい2つの制度を、要件の面から比較します。

    地域団体商標制度(商標法第7条の2)との比較表

    地域団体商標とは、「地域の名称+商品・役務の名称」からなる商標を、事業協同組合や商工会、商工会議所、NPO法人などが登録できる制度です(商標法第7条の2)。地域ブランドの保護を目的とし、「夕張メロン」のような地域名を含む商標を対象とします。団体商標との主な違いは次の表のとおりです。

    項目 団体商標 地域団体商標
    根拠条文 商標法第7条 商標法第7条の2
    対象となる商標 制限なし(通常の商標と同じ) 地域名+商品・役務名などの文字商標
    主な出願人 一般社団法人・事業協同組合など 加入自由な組合・商工会・商工会議所・NPO法人など
    周知性の要件 不要 必要(需要者の間に広く認識されていること)

    とくに重要な違いは周知性です。地域団体商標は、使用の結果として一定の地理的範囲で有名になっていることが登録の条件になります。

    詳しくはこちら

    どちらで出願すべきか?判断基準

    団体商標と地域団体商標のどちらを選ぶかは、商標に地域名を含むかどうかと、周知性の有無で判断します。地域名を含まない団体独自のマークやネーミングであれば、団体商標の一択です。地域名と商品名の組み合わせで、すでに一定の知名度がある場合は地域団体商標が候補になります。地域名を含んでいてもまだ知名度が十分でない場合は、ロゴ化して識別力を確保したうえで団体商標や通常の商標として出願する選択肢もあります。なお商標法第11条により、出願中であれば団体商標・地域団体商標・通常の商標登録出願は相互に変更できますが、査定または審決の確定後は変更できません。迷う場合は出願前に専門家へ相談してください。

    詳しくはこちら

    e-Gov法令検索「商標法(第11条)」をご確認ください。

    団体商標の登録要件は2つ

    団体商標の登録には、通常の商標登録の要件に加えて、団体商標に固有の2つの要件を満たす必要があります。認められない団体の例と合わせて確認します。

    要件1:出願人が一般社団法人・事業協同組合等の適格団体であること

    団体商標の出願人になれるのは、商標法第7条第1項に列挙された団体に限られます。具体的には、一般社団法人その他の社団(法人格のないもの及び会社を除く)、事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格のないものを除く)、そしてこれらに相当する外国の法人です。事業協同組合は中小企業等協同組合法、農業協同組合は農業協同組合法というように、特別の法律にもとづいて設立された組合であることが必要になります。出願の際には、この要件を満たす法人であることを証明する書面を特許庁長官に提出しなければなりません(商標法第7条第3項)。登記事項証明書や根拠法の条文などで法人格と設立根拠を示すことが実務上のポイントです。

    詳しくはこちら

    e-Gov法令検索「商標法(第7条)」をご確認ください。

    要件2:構成員に使用させる商標であること

    団体商標は、団体の構成員に使用をさせる商標であることが要件です。商標法第7条第1項が「その構成員に使用をさせる商標について」と定めているとおり、団体自身だけが使う商標であれば通常の商標登録で足ります。構成員への使用ルールは団体の定款や規約で定めるのが一般的で、商標法第31条の2第1項も「当該法人又は当該組合等の定めるところにより」構成員が登録商標を使用する権利を持つと規定しています。どの範囲の構成員に、どの商品・役務について、どのような表示方法で使わせるのかを、出願前に団体内で明文化しておくことが、登録後のブランド管理をスムーズにします。

    詳しくはこちら

    e-Gov法令検索「商標法(第7条・第31条の2)」をご確認ください。

    団体商標が認められない団体の例

    法人格のない任意団体と会社は、団体商標の出願人になれません。商標法第7条第1項が「法人格を有しないもの及び会社を除く」と明記しているためです。たとえば規約だけで運営される研究会や同好会、法人化していない業界の連絡協議会は、まず一般社団法人などの法人格を取得する必要があります。株式会社や合同会社などの会社は、たとえグループ企業に商標を使わせる目的でも団体商標を利用できず、通常の商標登録とライセンス契約で対応することになります。自分たちの組織がどの類型に当たるかは登記の有無と設立根拠法で確認でき、判断に迷う場合は弁理士への相談が確実です。

    団体商標に係る商標権の効力と構成員の権利

    団体商標として登録された商標権は、構成員の使用権という独自の仕組みを持ちます。商標権の基本的な効力と合わせて、団体商標ならではのポイントを解説します。

    団体構成員の使用権

    団体商標の登録により、団体の構成員は個別のライセンス契約を結ばなくても登録商標を使用する権利を持ちます。商標法第31条の2第1項は、団体商標に係る商標権を有する法人の構成員が、当該法人の定めるところにより指定商品・指定役務について登録商標を使用する権利を有すると定めています。この権利は構成員の資格にもとづくものであるため、他人に移転することはできません(同条第2項)。また構成員は、不使用取消審判や不正使用取消審判などの規定の適用では通常使用権者とみなされます(同条第3項)。構成員の使用実績が団体の商標権の維持に影響するため、団体は構成員の使用状況を継続的に記録・管理する体制を整えることが重要です。

    詳しくはこちら

    e-Gov法令検索「商標法(第31条の2)」をご確認ください。

    商標権の移転・使用権の設定はどうなるか

    団体商標に係る商標権を移転すると、原則としてその商標権は通常の商標権に変更されたものとみなされます(商標法第24条の3第1項)。団体商標のまま移転するには、その旨を記載した書面と適格団体であることを証明する書面を、移転の登録申請と同時に特許庁長官へ提出しなければなりません。また団体商標の商標権には、通常の商標権と同じく専用使用権の設定(商標法第30条)や通常使用権の許諾(商標法第31条)ができます。ただし専用使用権を設定すると、その範囲では専用使用権者が使用を専有し、構成員の使用権も及ばなくなる点に注意が必要です(商標法第31条の2第1項ただし書)。

    詳しくはこちら

    e-Gov法令検索「商標法(第24条の3・第30条・第31条)」をご確認ください。

    団体商標登録の手続と流れ

    団体商標の出願手続は、証明書面の提出を除けば通常の商標登録出願と共通です。全体の流れと必要書類、期間の目安を順に確認します。

    出願から登録までの5ステップ

    団体商標登録の手続は、①先行商標調査、②出願書類の作成、③特許庁への出願、④審査・拒絶理由への対応、⑤登録料の納付と設定登録、という5つのステップで進みます。出願書類の「商標登録を受けようとする商標」や指定商品・指定役務の記載方法は通常の出願と同じで、願書に団体商標の登録を受けようとする旨を明記し、証明書面を添付する点だけが異なります。審査では識別力(商標法第3条)や先行商標との類否(商標法第4条第1項第11号)が判断されるため、出願前の準備が登録の成否を左右します。全体像は商標登録の流れと手続きの解説記事で詳しく確認できます。

    出願時に必要な書類(法人証明書面など)

    団体商標の出願で必要になる書類は、商標登録願と、出願人が商標法第7条第1項に規定する法人であることを証明する書面です。証明書面の提出は商標法第7条第3項が義務付けており、一般社団法人であれば登記事項証明書、事業協同組合であれば設立根拠法にもとづく設立を示す書類を提出します。書面の提出を欠くと補正指令の対象となり、手続が長引く原因になります。指定商品・指定役務を記載する区分の選び方や願書の書き方に不安がある場合は、商標出願に必要な提出書類のポイント解説も参考にしてください。

    登録までの期間の目安

    団体商標の審査期間は、通常の商標登録出願と同じ枠組みで運用されています。出願から登録までの期間は特許庁の審査状況や拒絶理由通知の有無によって変動するため、団体の総会やブランド発表会など使用開始のスケジュールが決まっている場合は、逆算して早めに出願することが欠かせません。一定の条件を満たす出願には審査を早める早期審査制度もあり、事情に応じた活用を検討する価値があります。商標登録にかかる期間の考え方と中間手続の内容は、商標登録の期間と費用の解説記事で詳しく説明しています。

    団体商標登録にかかる費用

    団体商標の特許庁費用は、通常の商標登録出願と同じ料金体系です。特許庁の産業財産権関係料金一覧(2026年7月時点)にもとづいて整理します。

    特許庁に支払う出願料・登録料

    団体商標の出願料は3,400円に区分数×8,600円を加えた額です。1区分なら12,000円、2区分なら20,600円を出願時に納付します。登録査定を受けた後の商標登録料は区分数×32,900円で、10年分を一括で納付する金額です。前期・後期に分けて納付する分割納付を選ぶ場合は区分数×17,200円ずつを2回納めます。さらに10年ごとの更新登録申請は区分数×43,600円です。指定する区分の数が費用に直結するため、構成員が実際に使用する商品・役務を洗い出して過不足のない区分を選ぶことが、無駄なコストを抑えるポイントになります。

    詳しくはこちら

    特許庁「産業財産権関係料金一覧」をご確認ください。

    弁理士に依頼する場合の費用相場

    弁理士に団体商標の出願を依頼する場合は、特許庁に納める印紙代に加えて、事務所ごとに定める調査料金・出願手数料・成功報酬などが発生します。料金体系は事務所によって異なり、証明書面の準備や構成員の使用規則の整備まで支援するかどうかでも総額が変わります。団体商標は出願人の適格性という固有の論点があるため、見積もりの際は団体商標の取り扱い実績を確認することが大切です。依頼先の選び方と費用の内訳は弁理士への商標調査依頼ガイドで詳しく解説しています。

    出願前に必ず行うべき先行商標調査

    団体商標も、先に登録された他人の商標と類似していれば拒絶されます。出願前の商標調査は、団体の合意形成をやり直すリスクを避けるための必須工程です。

    先行商標調査を怠るとどうなるか

    先行商標調査を省略して出願すると、他人の登録商標と類似することを理由に拒絶される可能性が高まります(商標法第4条第1項第11号)。団体商標の場合、出願までに総会決議や構成員への説明など団体内の合意形成を経ていることが多く、拒絶されて商標を変更するとなれば、その手続を最初からやり直す負担が生じます。出願料も返還されません。だからこそ、候補となる商標を決めた段階で、同一・類似の先行商標がないかを確認する商標調査を実施してから、団体内の最終決定に進む順序が合理的です。称呼(読み方)の類似まで含めた確認が、審査を見据えた調査の基本になります。

    AI商標調査ツールを活用した効率的な調査方法

    TM-RoBoのようなAI商標調査ツールを使えば、専門家でなくても短時間で先行商標の確認ができます。TM-RoBoはAI称呼検索とAI商標検索により、候補商標の称呼類似リスクを統計指標で評価でき、複数の商標候補を比較しながら絞り込む使い方に適しています。実際に、グループ全体で年間3000件規模の商標調査を行う導入事例:ポーラ・オルビスホールディングスでは、複数の事業会社への展開と人材育成にTM-RoBoが活用されています。また導入事例:ダイキン工業株式会社では、1時間かかっていた調査が10分になるなど調査時間の大幅な短縮を実現しました。団体で複数の商標候補を検討する場面でも、AI商標調査の活用が意思決定のスピードを高めます。

    団体商標登録に関するよくある質問(FAQ)

    任意団体(法人格のない団体)でも団体商標を登録できますか?

    登録できません。商標法第7条第1項は法人格のない社団を除外しています。一般社団法人化などで法人格を取得してから出願してください。

    株式会社がグループ会社に使わせる商標は団体商標にできますか?

    できません。会社は団体商標の出願人から除外されています。通常の商標登録とライセンス契約で対応するのが実務上の方法です。

    団体商標の存続期間は何年ですか?

    設定登録の日から10年です(商標法第19条)。更新登録の申請により10年ごとに何度でも更新できます。

    構成員が団体を脱退したら商標は使えなくなりますか?

    使えなくなります。構成員の使用権は団体の定めにもとづく資格連動の権利で、移転もできません(商標法第31条の2)。

    出願中に団体商標から通常の商標登録出願へ変更できますか?

    変更できます。商標法第11条により出願中は相互に変更可能です。ただし査定・審決の確定後は変更できません。

    まとめ:団体商標登録は要件確認と事前調査から始めよう

    団体商標登録は、一般社団法人や事業協同組合などの団体が、構成員に使用させる商標を保護できる制度です。出願人の適格性と構成員に使用させる商標であることという2つの要件を満たし、法人証明書面を提出する点が通常の商標登録との違いでした。地域名を含む商標なら地域団体商標との使い分けも検討が必要です。費用は区分数で決まり、審査では先行商標との類否が問われます。

    団体内の合意形成をやり直さないためにも、商標候補が固まった段階でTM-RoBoのようなAI商標調査ツールを使った先行商標調査を実施し、リスクを確認してから出願に進んでください。最終的な出願判断に迷う場合は、弁理士など専門家への相談が確実です。

    詳しくはこちら

    e-Gov法令検索「商標法」および特許庁「団体商標、地域団体商標及び防護標章登録制度」をご確認ください。

    参考文献・出典

    1. 商標法(e-Gov法令検索)第7条・第7条の2・第11条・第19条・第24条の3・第30条・第31条の2
    2. 特許庁「団体商標、地域団体商標及び防護標章登録制度」
    3. 特許庁「産業財産権関係料金一覧」

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