トップ 商標調査の基本 会社名の商標登録は必要?登記との違いと費用・流れを解説

会社名の商標登録は必要?登記との違いと費用・流れを解説

目次

    会社名(商号)を法務局に登記すれば、それで会社の名前は守られると考えていませんか。実は会社名の登記と商標登録はまったく別の制度であり、登記だけでは他社による名前の先取りや使用差止を防ぎきれない場面があります。この記事では、会社名の商標登録が必要かどうかを判断するために、商号登記との違い、登録したほうがよいケースとしない場合のリスク、登録要件、費用、手続きの流れ、出願前の先行調査までを順番に整理します。読み終えるころには、自社が会社名を商標登録すべきかを根拠とともに判断し、次の一歩へ進めるようになります。

    この記事は以下のような人におすすめ!

    • 会社名(商号)の登記だけで安心してよいか迷っている人
    • 自社の会社名を商標登録すべきかどうか判断基準を知りたい人
    • 会社名の商標登録にかかる費用や手続きの流れを知りたい人

    記事を読み終える頃には、自社が会社名を商標登録すべきかを根拠とともに判断し、次の一歩へ進められるようになります。

    この記事の監修者

    岩原 将文

    株式会社IP-RoBo(TM-RoBo運営会社) CEO 弁護士

    主として、特許、著作権その他の知的財産権に関する相談、契約、訴訟等を行う。大学・大学院時代には、機械学習に関する研究を行っていた。

    関連リンク

    WEB:https://ip-robo.co.jp/

    Profile Picture

    会社名(商号)の登記と商標登録は別物|まず違いを理解する

    商号の登記とは|会社法・商業登記法に基づく手続き

    商号とは、会社が営業上自己を表示するために用いる名称です。株式会社を設立する際は、会社法と商業登記法に基づき、商号を法務局へ登記します。登記された商号は会社を特定する役割を果たし、会社法第8条では不正の目的で他社と誤認させる名称の使用が禁じられています。ただし商号登記の効力は会社の同一性の表示が中心であり、商品やサービスに付けたブランド名としての独占権までは当然には与えられません。

    商標登録とは 商標法に基づくブランドの保護

    商標登録とは、商品や役務に使う名称・ロゴなどの標識を、商標法に基づいて特許庁に登録し、独占的に使用できる権利(商標権)を得る手続きです。商標権は指定した商品・役務の範囲で第三者の同一・類似商標の使用を排除でき、ブランドを守る盾になります。会社名そのものでも、商品や役務を示す商標として使うのであれば登録の対象になります。独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)も、会社名や屋号を商標として登録できると案内しています。

    詳しくはこちら

    商号を登記しても会社名は守りきれない理由

    商号登記と商標登録は、守備範囲がそもそも違います。商号登記は会社の名称表示を担う一方、商品やサービスに使う名前を他社に使わせない独占権までは生みません。そのため、他人が登記済みの会社名と同じ名称を別の会社が商品名やサービス名として商標登録してしまうと、自社がその名前を使う場面で不利益を被るおそれがあります。会社名のブランド価値を本気で守るなら、登記とは別に商標登録を検討する必要があります。まずは自社の会社名が登録可能かを確かめる商標調査から着手するのが安全です。

    会社名を商標登録したほうがよいケース

    会社名はすべてのケースで必ず商標登録しなければならないわけではありません。一方で、登録の必要性が高い典型的な状況があります。自社が当てはまるかどうかを確認していきましょう。

    会社名を商品・サービス名としても使う場合

    会社名を商標登録すべき代表例は、会社名をそのまま商品名やサービス名として使うケースです。社名=ブランド名となるため、その名前を競合に使われると顧客が混同し、売上やブランドの信用に直接の打撃を受けます。会社名と商品名が一致していれば、ひとつの商標登録で社名とブランドの両方を守れるため、費用対効果も高くなります。社名を看板商品の名称に据える事業ほど、登録の優先度は上がります。

    会社名をブランドとして広く認知させたい場合

    広告や販促に投資して会社名の認知を高めていく方針なら、商標登録の価値はさらに大きくなります。認知が広がるほど、その名前は模倣や便乗のターゲットになりやすいからです。化粧品や日用品などブランド資産を重視する企業では、社名やブランドの保護を知財戦略の柱に据えています。TM-RoBoの導入事例でも、長く愛されるブランドを育てる導入事例:ライオン株式会社が、AI活用で商標調査を均質化・効率化しながらブランド保護を進めています。

    事業拡大・フランチャイズ展開を見据える場合

    多店舗化やフランチャイズ、グループ会社への展開を見据えるなら、早い段階での商標登録が欠かせません。展開後に名称トラブルが起きると、看板の架け替えや契約の見直しといった大きなコストが発生するためです。事業会社やグループ全体で社名・ブランドを統括する企業では、調査と登録の体制づくりが急務になります。グループ全体の知的財産を統括する導入事例:ポーラ・オルビスホールディングスは、年間3000件規模の調査業務の効率化を目指してTM-RoBoを導入しました。

    会社名を商標登録しない場合に起こりうるリスク

    会社名を登記しただけで安心していると、思わぬ不利益を被ることがあります。商標登録を怠った場合に現実に起こりうるリスクを、加害側・被害側の両面から確認しておきましょう。

    他社に会社名を先に商標登録されるリスク

    もっとも避けたいのは、他社に自社の会社名を先に商標登録されてしまうリスクです。日本の商標制度は先に出願した者が登録を受けられる先願主義(商標法第8条)を採用しているため、登記が先でも商標出願が後なら名前を押さえられかねません。先に他人の商標が登録されると、自社が会社名を商品・サービスに使う場面で使用差止や名称変更を迫られる可能性があります。万一先を越されても打てる手はありますが、対応には時間も費用もかかります。詳しくは商標を先に取られた場合の対処法を確認してください。

    詳しくはこちら

    e-Gov法令検索「商標法」をご確認ください。

    自社の会社名が他社の商標権を侵害するリスク

    逆の立場で、自社の会社名が知らないうちに他社の商標権を侵害してしまうリスクもあります。会社名を商品やサービスに商標として使えば、すでに登録された他人の商標と同一・類似なら商標権侵害となるおそれがあるためです。商号登記の段階で他社の商標権までは自動的にチェックされません。そのため、社名を決める前後で先行する登録商標を調べておくことが、後のトラブルを避ける近道になります。商標調査の方法や費用を押さえ、出願前に自社名の安全性を確かめましょう。

    会社名を商標登録するための要件

    会社名であれば何でも商標登録できるわけではなく、商標法が定める要件を満たす必要があります。登録の可否を分ける二つの大きな関門を、条文に沿って確認します。

    自他商品・役務の識別力があること(商標法第3条)

    第一の要件は、自社の商品・役務を他社のものと区別できる識別力があることです。商標法第3条は、その商品の普通名称や、ありふれた表示、品質や産地などを普通に表す記述的な標章などを、登録できない商標として定めています。会社名でも、業種を示すありふれた語だけで構成されていると識別力が弱いと判断されることがあります。造語性のある社名や、ロゴと組み合わせた表現にすることで、登録の可能性が高まります。

    詳しくはこちら

    e-Gov法令検索「商標法」をご確認ください。

    他人の先願・登録商標と同一・類似でないこと(商標法第4条・第8条)

    第二の要件は、他人の先願・登録商標と抵触しないことです。商標法第4条第1項第11号は、他人の登録商標と同一・類似で、指定商品・役務も同一または類似する商標は登録できないと定めています。さらに第8条の先願主義により、同一・類似の商標が競合した場合は先に出願した者が優先されます。会社名が既存の登録商標と似ていないか、称呼(読み方)や外観の面から確かめる作業が登録の成否を左右します。TM-RoBoのAI称呼検索は、社名の称呼の類否を統計指標で素早く判断でき、出願前の先行調査を効率化します。

    詳しくはこちら

    e-Gov法令検索「商標法」をご確認ください。

    会社名の商標登録にかかる費用と存続期間

    会社名の商標登録には、特許庁へ納める法定の費用と、専門家に依頼する場合の手数料がかかります。区分の数で金額が変わる仕組みと、登録後の存続期間まで把握しておきましょう。

    特許庁に納める出願料・登録料

    商標登録では、出願時と登録時の二段階で特許庁に費用を納めます。出願料は基本額に区分(指定商品・役務の類)の数を掛けて算出し、登録料も区分数に応じて変わる仕組みです。区分が増えるほど合計額は上がるため、必要な区分を見極めることが費用最適化の鍵になります。最新の正確な金額は特許庁の公式情報で確認するのが確実です。費用の全体像は商標登録にかかる期間と費用の解説も参考になります。

    弁理士・特許事務所に支払う手数料

    調査や出願書類の作成を弁理士・特許事務所に依頼する場合は、特許庁費用とは別に手数料が発生します。手数料は事務所や依頼範囲(調査のみか、出願・中間対応まで含むか)によって幅があります。専門家に任せれば、区分の選定や拒絶理由への対応といった難所を任せられる安心感が得られます。自社で調査だけ先に進めてコストを抑え、出願は専門家に依頼するという組み合わせも有効です。

    存続期間は10年・更新で半永久的に維持できる

    商標権の存続期間は、設定登録の日から10年です。商標法第19条は存続期間を10年と定め、更新登録の申請によって何度でも更新できるとしています。つまり更新を続ける限り、会社名の商標権を半永久的に維持できます。特許のように権利が切れて自由に使えるようになる性質ではなく、ブランドを長く守り続けられる点が商標権の大きな利点です。

    詳しくはこちら

    e-Gov法令検索「商標法」をご確認ください。

    会社名を商標登録する手続きの流れ

    会社名の商標登録は、調査から登録まで段階を踏んで進みます。各ステップでやるべきことを理解しておくと、自社で進めるか専門家に任せるかの判断もしやすくなります。

    出願前の先行商標調査

    手続きの起点となるのが、出願前の先行商標調査です。自社の会社名が、すでに登録された他人の商標と同一・類似でないかを確認する工程で、ここを省くと拒絶や侵害のリスクが高まります。特許庁の検索データベースJ-PlatPatで類似商標を調べるほか、称呼や結合語の判断はAIツールの活用で精度と速度を両立できます。TM-RoBoのAI商標検索は、複数語を組み合わせた社名の類否を分析し、出願前のリスク評価を支援します。

    区分(指定商品・役務)の選び方

    商標は、使用する商品・役務を区分(類)で指定して出願します。会社名をどの事業のどの商品・サービスに使うのかを洗い出し、過不足なく区分を選ぶことが重要です。区分が足りないと守りたい範囲を保護できず、多すぎると費用が膨らみます。事業の現状と将来計画の両面から区分を検討しましょう。具体的な選び方は商標登録の区分の選び方ガイドが参考になります。

    出願から審査・登録まで

    調査と区分の検討を終えたら、願書を特許庁に提出して出願します。出願後は特許庁の審査官が登録要件を審査し、問題がなければ登録査定、要件に欠ければ拒絶理由が通知されます。拒絶理由には意見書や補正で対応でき、無事に登録料を納付すると設定登録され、商標権が発生します。出願から登録までの流れは商標登録の流れと手続きでより詳しく確認できます。

    会社名の商標登録で失敗しないための注意点

    会社名の商標登録は、出願の仕方や事前準備の丁寧さで結果が変わります。せっかくの登録を無駄にしないために、特に押さえておきたい二つの注意点を解説します。

    実際に使う形(社名表記・ロゴ)で出願する

    注意したいのは、実際に使う形で商標を出願することです。日常の事業で社名をロゴ入りで使うのに文字だけで出願する、あるいはその逆だと、保護したい使用態様と権利の範囲がずれてしまいます。社名を文字商標として押さえるか、ロゴと一体で押さえるかは、ブランドの使い方に合わせて決める必要があります。表記ゆれや英語表記の併用がある場合は、その点も踏まえて出願範囲を設計しましょう。

    出願前の調査を省略しない

    もうひとつの鉄則は、出願前の先行調査を省略しないことです。調査を飛ばして出願すると、他人の商標と抵触して拒絶されたり、登録後に侵害を指摘されたりする事態を招きます。調査は手間に見えても、後のトラブルや費用の無駄を防ぐ最良の保険です。社名は事業の土台となる重要な資産だからこそ、AI調査ツールや弁理士の力を借りて、確実に安全性を確かめてから出願に進むことをおすすめします。最終的な判断に迷う場合は、弁理士などの専門家へ相談すると安心です。

    よくある質問(FAQ)

    会社名を登記すれば商標登録は不要ですか

    不要とは言い切れません。商号登記は会社の名称表示の制度で、商品・役務に使う名前を独占する権利は生じません。ブランドを守るには別途の商標登録が有効です。

    会社名はどんなものでも商標登録できますか

    できないものもあります。商標法第3条により識別力のないありふれた名称は登録できず、第4条で他人の登録商標と同一・類似のものも登録できません。

    会社名の商標権はどのくらい維持できますか

    商標法第19条で存続期間は登録から10年と定められ、更新登録を続ければ半永久的に維持できます。特許と異なり期限切れで自由化される性質ではありません。

    会社名を他社に先に商標登録されたらどうなりますか

    先願主義のため先に登録した側が優先され、使用差止や名称変更を求められる場合があります。対抗手段はありますが、対応には時間と費用がかかります。

    出願前の商標調査は自社でできますか

    特許庁のJ-PlatPatで基本的な調査は可能です。称呼や結合語の類否判断は難しいため、AI調査ツールや弁理士の活用で精度を高めるのが安全です。

    まとめ|会社名の商号登記と商標登録は別制度の理解と先行調査から

    会社名の商標登録を判断する第一歩は、商号の登記と商標登録がまったく別の制度だと理解することです。登記は会社の名称表示を担い、商品やサービスに使う名前を独占する権利は商標登録によって初めて得られます。会社名を商品・サービス名として使う場合やブランドとして育てる場合は登録の優先度が高く、登録しないと先取りや侵害のリスクを抱えます。

    要件(商標法第3条・第4条・第8条)や費用、存続期間(第19条で10年・更新可)を踏まえ、まずは出願前の先行調査で自社名の安全性を確かめましょう。TM-RoBoのAI称呼検索・AI商標検索は、社名を商標登録する前の先行調査を速く正確に支援します。具体的な権利判断は弁理士などの専門家への相談をおすすめします。

    詳しくはこちら

    e-Gov法令検索「商標法」、特許庁「商標制度の概要」、および「商標出願・登録の手続と費用」をご確認ください。

    参考文献・出典

    1. 出典:商標法(第3条・第4条第1項第11号・第8条・第19条・第26条)(e-Gov法令検索)
    2. 出典:商標制度の概要(特許庁)
    3. 出典:商標出願・登録の手続と費用(特許庁)
    4. 出典:会社名や屋号を商標登録することはできますか(INPIT)

    今すぐ始めましょう

    14日間の無料トライアル実施中

    TM-RoBoサイトイメージ
    無料トライアル申し込み 資料ダウンロード