ロゴの商標調査ガイド|自社ブランドを守る方法と注意点を解説
目次
せっかく考えた自慢のロゴ。しかし、もし、すでに他の誰かが使っていたらどうしますか?
知らずに使い続けて、後で大きなトラブルになったら大変ですよね。大切なブランドを守るために、ロゴの「商標調査」は避けて通れません。
でも、「どうやって調べたらいいの?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
ご安心ください。この記事では、あなたの自社ブランドをしっかり守るための、ロゴの商標調査方法と注意点を分かりやすく解説します。
この記事を読めば、ロゴについて効率的かつ正確に商標調査を進めることができ、将来のトラブルを未然に防ぎながら、安心してブランドを育てていけるはずです。
この記事は以下のような人におすすめ!
- ロゴの商標調査が大切な理由と、しないと困るリスクがわかります。
- 商標調査を始める前に知っておくべき基本的な知識が身につきます。
- J-PlatPatを使ったロゴの商標調査の具体的なやり方がわかります。
- 調査の正確性を上げるコツと、気をつけたい点が理解できます。
- 自分で調査するか、専門家に頼むかの選び方がわかります。
- 調査結果に応じてどう動けばいいか、具体的な対応策がわかります。
記事を読み終える頃には、自社のロゴとブランドを法的なトラブルから守り、安心して事業を成長させることができるようになります。
この記事の監修者
岩原 将文
株式会社IP-RoBo(TM-RoBo運営会社) CEO 弁護士
主として、特許、著作権その他の知的財産権に関する相談、契約、訴訟等を行う。大学・大学院時代には、機械学習に関する研究を行っていた。
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ロゴの商標調査はなぜ必要?怠った場合のリスクとは

「うちのロゴはオリジナリティがあって、他と被るわけがない」そう思っていませんか?
しかし、意図せず他社の商標と類似したロゴを使用してしまうと、深刻な法的トラブルに発展する可能性があります。
商標法では、他人の登録商標と類似した商標の使用を禁止しており、違反した場合は損害賠償請求や使用差止請求を受けるリスクがあります。
詳しくはこちら
特許庁の商標制度をご参照ください。
リスク1:損害賠償や使用差止請求を受ける可能性がある
もし、あなたの会社が使用しているロゴが、すでに他社によって商標登録されているロゴと類似していた場合、商標権者から「商標権侵害」として、損害賠償請求やロゴの使用差し止めを求められる可能性があります。
これは、商標権の効力が商標法第25条(商標権の効力)および第37条(侵害とみなす行為)に定められており、差止請求については意匠権や著作権侵害とは異なり、無過失であっても責任を問われることがあります。
例えば、あるアパレルブランドが、有名キャラクターに酷似したロゴを無断で使用していたとして、キャラクターの権利者から損害賠償請求を受け、多額の支払いを命じられた事例もあります。
このような事態を避けるためにも、事前の商標調査は不可欠です。
リスク2:時間と費用をかけて築いたブランドイメージが毀損する
せっかく広告宣伝や商品開発に時間と費用をかけて、大切に育ててきたブランドイメージも、商標トラブルによって大きく傷つく可能性があります。
例えば、ある日突然「あなたの会社のロゴは他社の商標と酷似しているため、使用を中止してください」という通知が届いたとしましょう。それまで使っていたロゴを急遽変更せざるを得なくなり、顧客への周知や、名刺、ウェブサイト、製品パッケージなどのあらゆる媒体の修正が必要になります。
この変更にかかる費用は、数百万から数千万円に及ぶことも珍しくありません。さらに、顧客からの信頼を失い、ブランドイメージの回復には長い年月がかかるでしょう。
商標とは、事業者が自己の商品・サービスを他社と区別するために使用する識別標識です。
詳しくはこちら
リスク3:商標登録できず他社にロゴを模倣される
「うちのロゴは既に世に出ているから、今からでも商標登録できるだろう」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、商標調査を怠り、他社が既に登録している、あるいは出願中のロゴと類似していた場合、あなたの会社のロゴは商標登録できません。
これは、商標法第4条第1項第11号(既存の登録商標との類似)に該当するためです。
商標登録できないということは、あなたの会社のロゴを法的に保護するための権利が得られないということです。つまり、競合他社があなたの会社のロゴを自由に模倣し、自社の商品やサービスに使用できるようになってしまうのです。
そうなれば、せっかく築き上げたブランドが混乱し、顧客がどちらの会社のものか分からなくなる事態も起こり得ます。
詳しくはこちら
特許庁の商標を検索してみましょうでは、簡単な商標検索の方法が紹介されています。
ロゴの商標調査を始める前に知っておきたい基礎知識

自社のロゴを商標登録し、大切なブランドを守るためには、事前の商標調査が不可欠です。
「商標」とは、簡単に言うと、「商品やサービスの名前やマーク」のこと。これを使うことで、「この商品はあの会社のものだ!」と、他の会社のものと区別できるようになります。
詳しくはこちら
政府広報オンラインの知っておかなきゃ、商標のこと!商標を分かりやすく解説!をご確認ください。
ロゴ商標とは?文字商標や図形商標との関係性
商標には、いくつかの種類があります。
例えば、「文字商標」は、「アップル」という文字そのもの。「図形商標」は、リンゴの形をしたマーク。そして、「ロゴ商標」とは、文字と図形が組み合わさった、例えば「Apple」という文字とリンゴのマークを一体にしたものを指すことが多いです。
これらはすべて、商標法で保護される対象となります。
調査の2つの目的:権利侵害の回避と登録可能性の確認
ロゴの商標調査には、大きく分けて2つの大切な目的があります。
1つ目は、「権利侵害の回避」です。もし、あなたが考えたロゴが、すでに誰かが登録しているロゴと似ていたら、後々トラブルになる可能性があります。
詳しくはこちら
特許庁の商標を検索してみましょうで、事前に確認することが重要です。
2つ目は、「登録可能性の確認」です。あなたのロゴが、商標として登録できるかどうかを事前に調べることも大切です。誰かがすでに登録しているロゴや、登録できないようなロゴだと、せっかくの努力が無駄になってしまいます。
調査範囲の要「類似範囲」と「区分」の考え方
商標調査では、「類似範囲」と「区分」という2つの考え方がとても重要になります。
「類似範囲」とは、あなたのロゴと、外見や発音が似ているだけでなく、意味や、「どっちの会社のものか分かりにくくなるか」という点も考慮して、似ていると判断される範囲のことです。商標法第4条第1項第11号などでは、「同一または類似の商標」について商標登録が認められない旨が定められています。
「区分」とは、商標登録をするときに、「どんな商品やサービスで使うか」を指定するカテゴリーのことです。例えば、衣類は「第25類」、飲食料品は「第29類」や「第30類」といった具合です。調査する際は、自分の商品・サービスと同じ区分だけでなく、関連する区分も調べる必要があります。区分は全部で45種類あります。
初心者でもできる!J-PlatPatを使ったロゴの商標調査3ステップ

自社のビジネスを成長させる上で、オリジナルのロゴはブランドイメージを確立する上で非常に重要です。しかし、せっかく作成したロゴが、既に他社が商標登録しているものと類似していた場合、後々、思わぬトラブルに発展する可能性があります。
そこで本セクションでは、特許庁が提供する無料のデータベース「J-PlatPat」を活用し、初心者の方でも迷わずできる、ロゴの商標調査方法を3つのステップに分けて具体的に解説します。
このステップを踏むことで、将来的な法的リスクを回避し、安心して自社ブランドを育てていくための一歩を踏み出しましょう。
ステップ1:ロゴの特徴から「図形等分類」を特定する
図形等分類とは?
商標調査において、「図形等分類」とは、ロゴのデザインや形状を、国際的な基準に基づいて細かく分類したコードのことを指します。
例えば、動物、植物、人物、建築物、幾何学模様など、ロゴがどのような要素で構成されているかをコードで表現することで、類似するロゴを効率的に検索できるようにするための重要な指標となります。
これは、商標法第4条第1項第11号にも関連し、「登録を受けようとする商標が、他人の登録商標と同一又は類似の商標であつて、指定商品又は指定役務について使用を」といった拒絶理由の判断において、デザインの類似性を客観的に評価するための基礎となります。
図形等分類の調べ方・探し方
J-PlatPatのサイトにアクセスし、「商標検索」メニューから「図形等分類検索」を選択します。検索画面では、キーワード検索だけでなく、分類コードから直接検索することも可能です。
例えば、ご自身のロゴに「太陽」のマークが含まれている場合、「太陽」や「円」といったキーワードで検索すると、関連する図形等分類コードが表示されます。表示された分類コードの中から、ご自身のロゴのデザインに最も近いものを選択してください。
詳しくはこちら
特許庁ウェブサイト(商標を検索してみましょう)をご参照ください。
ステップ2:J-PlatPatで類似の「図形商標」を検索する
検索条件の設定方法と入力のポイント
次に、ステップ1で特定した図形等分類コードを使い、J-PlatPatの「商標検索」機能で、類似する図形商標の検索を行います。
「商標検索」メニューから「出願・登録情報」を選択し、「検索項目」で「図形」を選択します。そこに、ステップ1で調べた図形等分類コードを入力します。
さらに、検索対象となる「指定商品・指定役務」も具体的に入力することが重要です。例えば、「衣料品」や「飲食サービス」など、ご自身のビジネスに関連する分野を指定することで、より精度の高い検索結果が得られます。
検索対象種別では、「出願・登録情報」にチェックを入れることで、現在出願中または登録済みの商標を対象に検索できます。
詳しくはこちら
知っておかなきゃ、商標のこと!(政府広報オンライン)をご確認ください。
検索結果一覧のどこを見ればいい?確認項目を解説
検索結果一覧が表示されたら、まず「登録番号」「商標(図形)」「指定商品・役務」の項目に注目しましょう。
特に、「商標(図形)」の欄に表示されるロゴが、ご自身のロゴと類似していないか、注意深く確認してください。
また、「指定商品・役務」の欄も重要です。たとえロゴのデザインが似ていたとしても、全く異なる商品・サービス分野であれば、商標権の抵触とはならない可能性もあります。しかし、類似していると判断される場合も多いため、油断は禁物です。
商標法第4条第1項第11号では、「指定商品若しくは指定役務又はこれらと類似する商品若しくは役務について、同一又は類似の商標であつて、その商品又は役務について使用をするものを登録を受けることができない。」と定められており、類似する商品・役務における類似商標の登録は拒絶されます。
もし、類似のロゴが見つかった場合は、その商標の「権利者」「出願日」「登録日」なども確認し、専門家への相談も視野に入れましょう。
ステップ3:ロゴに含まれる「文字」や「称呼(読み方)」でも検索する
ロゴの商標調査では、デザインだけでなく、ロゴに含まれる文字や、その読み方(称呼)も非常に重要な要素となります。
J-PlatPatでは、「称呼(類似検索)」という機能を使って、文字商標や、ロゴの読み方から類似商標を検索することができます。
検索メニューから「商標検索」を選択し、「出願・登録情報」を選んだ後、検索項目のプルダウンから「称呼(類似検索)」を選択します。そこに、ロゴの読み方や、ロゴに含まれる文字をカタカナで入力して検索してください。
例えば、あなたのロゴが「Apple」という文字を含み、「アップル」と読まれる場合、「アップル」と入力して検索することで、同じ読み方を持つ他の商標を洗い出すことができます。
商標法第4条第1項第11号では、前述の通り、「同一又は類似の商標」による登録の拒絶が定められています。この「類似」には、見た目の類似だけでなく、称呼(読み方)の類似も含まれます。
したがって、デザインだけでなく、文字や読み方についても、念入りに調査を行うことが、商標トラブルを未然に防ぐために不可欠です。
詳しくはこちら
政府公式の商標検索手順も参考に丁寧な調査を心がけましょう。特許庁ウェブサイト(商標を検索してみましょう)をご参照ください。
商標調査の精度を高めるための重要ポイントと注意点

自社のロゴを商標登録しようとする際、すでに同じようなロゴが使われていないか調べる「商標調査」は非常に重要です。しかし、この調査は単純なものではなく、いくつかの重要なポイントと注意点があります。
類似性の判断は専門家でも難しいことを理解する
商標法では、登録したいロゴが、すでに登録されているロゴと「類似」しているかどうかで判断されます。この「類似」の判断は、見た目(外観)だけでなく、呼ばれ方(称呼)や意味合い(観念)、さらには商品・役務(サービス)の類似性も考慮されるため、専門家である弁理士でも判断に迷うケースが少なくありません。
例えば、ある食品メーカーが「スマイル」というロゴを登録したいと考えた場合、見た目が似ている「ニッコリ」というロゴだけでなく、同じような意味を持つ「ハッピー」というロゴも、商品・役務が同じであれば類似と判断される可能性があります。このように、一見すると関係なさそうなロゴでも、法的な観点からは類似とみなされることがあるのです。
だからこそ、安易に「大丈夫だろう」と判断せず、専門家への相談も視野に入れることが、将来的なトラブルを防ぐ上で賢明な選択と言えます。
指定商品・役務(サービス)の範囲が重複していないか確認する
商標登録は、特定の「商品」や「役務(サービス)」に対して行われます。そのため、調査の際には、自社が使用したいロゴが、どのような商品・役務の区分で使われているかを正確に把握し、その範囲が重複していないかを確認することが不可欠です。
商標法第4条第1項第11号では、「周知な他人の商標と同一又は類似の商標であって、その指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用するもの」は登録できないと定められています。
例えば、あなたが「カフェ」という名称でコーヒーを提供するサービス(第43類)を考えているとします。もし、すでに「カフェ」という名称で、同じくコーヒーを提供するサービス(第43類)で登録されている商標があれば、あなたのロゴはその商標と類似していると判断され、商標登録が拒絶されてしまう可能性が高くなります。しかし、もし「カフェ」という名称が、全く異なる分野、例えば「衣料品」(第25類)で登録されていたとしても、コーヒーサービスとの類似性はないと判断されるでしょう。
このように、指定商品・役務の範囲を正確に理解し、重複を避けることが、商標調査の精度を高める上で非常に重要です。
調査漏れを防ぐための検索キーワードの選び方(同義語・表記ゆれ)
商標調査において、検索漏れは致命的なミスにつながる可能性があります。これを防ぐためには、単一のキーワードだけでなく、様々な角度から検索することが重要です。
例えば、自社のロゴが「太陽」をイメージしているとします。この場合、「太陽」という直接的なキーワードだけでなく、その同義語である「日」「サン」、あるいは関連する言葉「光」「輝き」なども検索対象に含めるべきです。
また、表記のゆれも考慮しましょう。カタカナ表記(「タイヨウ」)、ひらがな表記(「たいよう」)、漢字表記(「太陽」)など、考えられる全ての表記パターンで検索することが大切です。
詳しくはこちら
特許庁のウェブサイトでは、「商標検索」機能を利用して、称呼(ロゴを呼ぶ際の音)による類似検索が可能です。特許庁の商標検索ページをご参照ください。
このように、多角的なキーワード選定と、表記のゆれを考慮した検索を行うことで、調査漏れのリスクを大幅に減らし、より確実な商標調査を実現できます。
自分で調査する?専門家に依頼する?メリット・デメリットを徹底比較

自社のブランドを守るために、ロゴの商標調査は欠かせません。しかし、「自分でやるべきか、専門家に任せるべきか」と悩む方も多いでしょう。それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらを選ぶかで調査の質や結果が大きく変わってきます。
ここでは、それぞれの方法を徹底比較し、あなたに最適な調査方法を見つけるお手伝いをします。
自分で行う調査のメリット・デメリットと限界
自分で商標調査を行う最大のメリットは、何といってもコストを抑えられることです。特許庁のウェブサイトにある「商標検索」サービスなどを活用すれば、無料で調査を開始できます。
詳しくはこちら
特許庁の商標を検索してみましょうで手順をご確認ください。
しかし、専門知識がないと、類似商標の見落としや判断ミスにつながるリスクがあります。商標法では、指定商品・役務(サービス)との関連性や、称呼(呼び方)だけでなく、外観(見た目)や意味合いなども含めて総合的に類似性を判断します。
例えば、同じ「りんご」という言葉でも、食品とコンピューターでは類似性が認められません。
また、商標は「事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するネーミングやマーク(識別標識)」です。
詳しくはこちら
この「区別するため」という点が重要で、単に一般的な名称である場合、商標登録が認められません。自分で商標調査をした場合、これらの複雑な判断を正確に行うことは非常に困難であり、後々、他社の商標権を侵害してしまう、あるいは自社の商標登録が認められないといったトラブルに発展する可能性があります。
弁理士に依頼するメリットと調査費用の相場
弁理士に商標調査を依頼する最大のメリットは、その専門性と正確性です。弁理士は、商標法に関する深い知識と、過去の類似事例のデータベースなどを活用して、より網羅的かつ的確な調査を行います。これにより、将来的な権利侵害のリスクや、商標登録拒絶のリスクを大幅に低減できます。
商標調査費用の相場は、調査範囲や依頼する特許事務所によって異なりますが、一般的には数万円から10万円程度が目安となることが多いようです。例えば、簡単な先行調査であれば3万円~5万円程度、より詳細な調査となると5万円~10万円以上かかる場合もあります。
初期費用を抑えたい気持ちも分かりますが、ブランドを守るための投資と考えれば、決して高い金額ではありません。
商標登録の出願手数料は、1区分あたり約1万円(印紙代)ですが、これに弁理士への報酬が加わります。商標法第4条第1項第11号など、類似商標に関する規定は複数あり、これらの判断は高度な専門知識を要します。
失敗しない専門家(弁理士・特許事務所)の選び方
弁理士に依頼する際、どのような点に注意して選べば良いのでしょうか。以下の3つのポイントを参考に、信頼できる専門家を見つけましょう。
ロゴなど図形商標の実績が豊富か
ロゴのような図形商標は、文字商標以上に類似性の判断が難しい場合があります。そのため、過去に図形商標の調査や登録実績が豊富な弁理士を選ぶことが重要です。過去の事例や、どのような図形商標の案件を扱ってきたかなどを事前に確認すると良いでしょう。
コミュニケーションが円滑で説明が丁寧か
商標調査は、専門用語が多く出てくるため、分かりやすい説明が不可欠です。質問に対して丁寧に答えてくれるか、専門用語をかみ砕いて説明してくれるかなど、コミュニケーションが円滑に進むかどうかも重要なポイントです。初回相談などを活用し、相性を確認してみましょう。
料金体系や見積もりが明確か
事前に料金体系や見積もりを明確に提示してくれる事務所を選びましょう。追加料金が発生するケースや、調査内容によって料金が変わる場合など、不明瞭な点は事前に確認しておくことも大切です。複数の事務所から相見積もりを取り、比較検討するのも有効な手段です。
【ケース別】商標調査の結果が出た後の対応方法

商標調査の結果、自社が使用したいロゴと類似する先行商標が見つからなかった場合、これは非常に幸運なケースと言えるでしょう。この状況であれば、速やかに商標登録の出願手続きを進めることが、ブランドを確実に保護するための第一歩となります。
商標法では、登録の要件として、「識別力があること」や「先願主義」などが定められています(商標法第3条、第8条など)。類似商標が存在しないことは、これらの登録要件を満たしやすくするだけでなく、将来的な他社からのクレームや訴訟リスクを大幅に低減させます。
詳しくはこちら
特許庁の商標を検索してみましょうをご参照ください。
出願書類の準備が整い次第、特許庁へ提出しましょう。なお、出願手数料は3,400円+(8,600円×区分数)で、1区分の場合は合計12,000円です。
詳しくはこちら
特許庁:産業財産権関係料金一覧をご確認ください。
類似する先行商標があった場合:ロゴの修正や専門家への相談を検討する
商標調査の結果、自社で検討しているロゴと類似する先行商標が見つかった場合は、慎重な対応が求められます。
商標法では、「識別力がない商標」や「他人の商標と同一または類似する商標」は登録できないと定められています(商標法第3条第1項各号、同第4条第1項第11号など)。類似する先行商標が存在する場合、そのまま出願しても商標登録が認められない可能性が高く、さらに、その先行商標の権利者から使用差止請求や損害賠償請求を受けるリスクも生じます。
このような状況では、以下の対応を検討しましょう。
ロゴデザインの修正
類似する部分を避けるように、ロゴのデザインや名称(称呼)を修正します。例えば、文字のフォントを変える、色合いを調整する、あるいは、形状や構成要素を変更するなどが考えられます。修正後は、再度商標調査を行い、類似商標がないか確認することが重要です。
専門家(弁理士)への相談
商標法は専門的な知識を要するため、弁理士などの専門家に相談することを強くお勧めします。弁理士は、類似商標の判断や、リスクを回避するためのロゴ修正案の提示、さらには、出願手続きの代行まで、トータルでサポートしてくれます。
弁理士に依頼する場合、報酬は案件によりますが、一般的に、調査・分析で数万円、出願手続きで10万円前後が目安となります。
権利者との交渉
ケースによっては、先行商標の権利者と交渉し、使用許諾(ライセンス契約)を得る、あるいは、商標権を譲り受けるという方法も考えられます。しかし、これは一般的にハードルが高く、専門的な知識と交渉力が必要となります。
詳しくはこちら
商標は、事業者の「識別標識」として、商品やサービスを他社と区別するために不可欠なものです。安易な使用や出願は、将来的に大きなトラブルに発展する可能性があります。慎重に調査結果を分析し、適切な対応をとることが、自社ブランドを確固たるものにするための鍵となります。
まとめ:適切な商標調査で自社のロゴとブランドを育てよう

自社のロゴやブランド名を、将来的なトラブルから守るためには、事前の商標調査が不可欠です。商標とは、事業者が自社の商品やサービスを他社と区別するために使用する「識別標識」のことです。
詳しくはこちら
商標法では、類似する商標が既に登録されている場合、新たな商標登録が認められません(商標法第4条第1項第11号)。このため、出願前に類似商標の有無を調査することが極めて重要です。
特許庁のウェブサイトでは、簡単に商標を検索できるツールが提供されています。まずは「商標検索」メニューから「出願・登録情報」を選択し、「称呼(類似検索)」で自社のロゴや名称に似たものが登録されていないか確認しましょう。
詳しくはこちら
特許庁の商標を検索してみましょうをご確認ください。
この検索を怠ると、意図せず他社の商標権を侵害してしまい、損害賠償請求や使用差し止め請求といった、事業継続に関わる深刻な事態に発展するリスクがあります。最悪の場合、ブランドイメージの失墜にも繋がりかねません。
適切な商標調査は、単にリスクを回避するためのものだけではありません。自社のロゴやブランドが、市場で独自性を持ち、かつ法的に保護されることを確認することで、安心して事業を拡大し、ブランド価値を高めていくための土台となります。
将来的な法的トラブルを回避し、大切なブランドを育てていくために、ぜひ、この機会に自社ロゴの商標調査について理解を深め、実践してみてください。
よくある質問
- ロゴのデザインが少し違うだけでも、商標権の侵害になりますか?
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はい、侵害と判断される可能性があります。商標が似ているかどうかは、見た目(外観)、読み方(称呼)、意味合い(観念)を総合的に見て判断されます。細部が少し違っていても、全体的な印象が似ていて、消費者が商品やサービスの提供元を間違える可能性がある場合は、侵害とされることがあります。自己判断は危険なため、不安な場合は専門家への相談をおすすめします。
- ロゴマークと会社名(文字列)は、別々に商標登録した方がいいですか?
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はい、別々に登録することをおすすめします。ロゴと文字列をセットで登録すると、その組み合わせでしか権利が保護されません。例えば、ロゴだけを使ったり、文字列だけを使ったりした場合に、権利を主張できない可能性があります。それぞれを別に登録することで、より柔軟にブランドを守ることができ、将来的なブランド展開にも対応しやすくなります。
- J-PlatPatでのロゴ調査が難しそうです。何かコツはありますか?
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ロゴの調査では「図形等商標検索」を使い、「ウィーン図形分類」というコードで検索するのが基本です。このコードは、ロゴの要素(動物、植物、幾何学図形など)を分類したものです。まずは、ご自身のロゴに含まれるモチーフ(例:猫、星、家)のキーワードで分類コードを探すことから始めてみましょう。最初は難しく感じますが、慣れると効率的に調査を進められます。
- 自分で調査して似たロゴが見つかりませんでした。これで安心して使えますか?
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ご自身での調査は第一歩として重要ですが、それだけで安心するのは早計です。出願されたばかりでまだ公開されていない商標や、読み方は似ているがデザインは異なる商標など、調査で見落とすリスクがあります。特にビジネスの根幹となるロゴですので、最終的な確認は弁理士などの専門家に依頼し、調査の精度を高めることを強く推奨します。
- 商標調査を専門家(弁理士)に依頼すると、費用はどのくらいかかりますか?
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費用は調査の範囲や依頼する特許事務所によって異なりますが、一般的なロゴの調査であれば、数万円から十数万円程度が目安です。自分で調査する時間や手間、そして後から商標トラブルが発生した場合の損害を考えれば、専門家への依頼は有効な投資と言えます。複数の事務所から相見積を取り、サービス内容と費用を比較検討すると良いでしょう。
- 調査の結果、似ているロゴが既に見つかりました。もうこのロゴは使えませんか?
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すぐに諦める必要はありません。まずは、相手の商標が登録されている商品やサービスの範囲(「区分」と呼ばれます)を確認しましょう。自社の事業と全く異なる分野であれば、問題なく使用・登録できる可能性があります。ただし、この判断は専門的な知識を要するため、弁理士に相談し、今後の対応方針について正確なアドバイスをもらうことが重要です。
参考文献
- https://www.jpo.go.jp/system/trademark/index.html
- https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/index.html
- https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
- https://www.inpit.go.jp/j-platpat_info/reference/index.html
- https://www.inpit.go.jp/consul/index.html
- https://www.jpaa.or.jp/faq/
- https://www.jpo.go.jp/support/chusho/index.html