立体商標とは?認められる2つの要件と登録例を解説
目次
自社の特徴的な商品の形や容器を、ブランドとして守りたいと考えたことはありませんか。その手段のひとつが立体商標です。立体商標とは、平面の文字やロゴではなく、立体的な形そのものを商標として登録する制度です。ただし、立体商標が認められるには2つの要件をクリアする必要があり、登録のハードルは決して低くありません。本記事では、立体商標とは何かを定義から整理し、認められる要件・意匠権との違い・有名な登録例までを、商標法の条文をもとに分かりやすく解説します。
この記事は以下のような人におすすめ!
- 商品の形や容器をブランドとして立体商標で守れるか知りたい人
- 立体商標が認められる要件を正しく理解したい人
- 立体商標と意匠権のどちらで守るべきか判断したい人
記事を読み終える頃には、立体商標が認められる条件と、意匠権との使い分け方が具体的に分かるようになります。
この記事の監修者
岩原 将文
株式会社IP-RoBo(TM-RoBo運営会社) CEO 弁護士
主として、特許、著作権その他の知的財産権に関する相談、契約、訴訟等を行う。大学・大学院時代には、機械学習に関する研究を行っていた。
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立体商標とは?意味と制度をわかりやすく解説

立体商標とは「立体的形状からなる商標」のこと
立体商標とは、商品やパッケージなどの立体的な形状からなる商標です。平面的な文字やロゴと違い、立体物そのものを「どこの商品かを示す目印」として登録します。たとえば、独特な形の飲料容器やキャラクターの立体人形が、ブランドの目印として機能する場合が当てはまります。形を見ただけで「あの会社の商品だ」と分かる立体物が、立体商標の対象です。
1996年改正で導入された制度(商標法第2条)
立体商標は、1996年の商標法改正で導入されました。商標法第2条第1項は、商標を構成する標章として「文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合」などを挙げており、立体的形状が明記されています。それ以前は平面的な標章しか登録できませんでしたが、商標法改正によって商品の形や容器も商標として保護されるようになりました。新しいタイプの商標の先駆けといえる制度です。
詳しくはこちら
e-Gov法令検索「商標法」をご確認ください。
立体商標の効力|登録でブランドの形を独占できる
立体商標を登録すると、その形状を指定した商品・サービスの範囲で独占できます。商標権者は、指定商品・指定役務について登録商標を使う権利を専有します(商標法25条)。これにより、競合が似た形状を使ってブランドの信用にただ乗りする行為を防げます。立体的な形状を更新しながら長期に守れる点が、立体商標の大きな強みです。
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e-Gov法令検索「商標法」をご確認ください。
立体商標が認められる2つの要件

立体商標が登録されるには、大きく2つの要件を満たす必要があります。識別力と、機能的形状でないことです。順に解説します。
要件①:識別力があること(商標法第3条)
1つ目の要件は、識別力があることです。識別力とは、その形を見た需要者が「どこの会社の商品か」を見分けられる力を指します。商標法第3条第1項は、商品の形状を普通に表示する標章のみからなる商標などは登録できないと定めています。ありふれた形や、商品として当たり前の形だけでは、目印として機能せず登録は認められません。形状に独自性が求められる点が、立体商標の難しさです。
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e-Gov法令検索「商標法」をご確認ください。
要件②:機能に不可欠な形状でないこと(商標法第4条第1項第18号)
2つ目の要件は、機能を確保するために必要な形状でないことです。商標法第4条第1項第18号は、商品等が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標は登録できないと定めています。たとえば、ボトルが立つために必要な底の形のように、機能上どうしても必要な形を一社が独占すると、競争を不当に制限してしまうためです。機能由来の形は立体商標として保護されません。
詳しくはこちら
e-Gov法令検索「商標法」をご確認ください。
立体商標は「使用による識別力」で登録される例もある
立体的な形状は、もともと識別力が認められにくい傾向があります。そこで多くの立体商標は、長年の使用で消費者に広く知られた結果、識別力を得て登録されます。商標法第3条第2項は、使用された結果、需要者が出所を認識できるようになった商標は登録できると定めています。長く売れ続け、形がブランドとして浸透した商品ほど、立体商標として認められやすくなります。
詳しくはこちら
e-Gov法令検索「商標法」をご確認ください。
立体商標と意匠権の違いを比較

商品の形を守る制度には、立体商標のほかに意匠権があります。両者は目的も期間も異なるため、違いを整理します。
保護対象と目的の違い(目印かデザインか)
立体商標と意匠権は、守る目的が違います。立体商標が守るのは「出所を示す目印」としての形であり、ブランドの識別力が前提です。一方、意匠権が守るのは「物品の美的なデザイン」そのもので、新しさ(新規性)が前提になります。同じ形でも、ブランドの目印として守るなら立体商標、デザインの新しさを守るなら意匠権と、目的で使い分けます。
存続期間の違い(更新で半永久か最長25年か)
存続期間にも大きな差があります。立体商標の商標権は登録から10年で終了しますが、更新登録の申請により何度でも更新でき、使い続ける限り半永久的に維持できます(商標法第19条)。一方、意匠権の存続期間は意匠登録出願の日から25年で終了します(意匠法第21条)。長く使うブランドの形なら、更新できる立体商標が有利です。
立体商標と意匠権はどちらで守るべきか
どちらで守るかは、保護したい価値と時間軸で決まります。発売直後の新しいデザインを早く守りたいなら、新規性を要件とする意匠権が向いています。長く売れてブランドの象徴になった形を半永久的に守りたいなら、立体商標が向いています。両方を組み合わせ、まず意匠権で押さえ、定着後に立体商標へ移行する戦略も実務で取られます。
| 比較項目 | 立体商標 | 意匠権 |
|---|---|---|
| 守る対象 | 出所を示す目印としての形 | 物品の美的なデザイン |
| 主な要件 | 識別力 | 新規性 |
| 存続期間 | 10年(更新で半永久) | 出願から25年 |
立体商標の登録例と出願の進め方

実際にどんな立体物が登録されているのか、登録例と出願時のポイントを確認します。
有名な立体商標の登録例(ヤクルト容器など)
立体商標の代表例として、ヤクルトの乳酸菌飲料の容器や、コカ・コーラの輪郭のあるガラス瓶が知られています。どちらも長年の販売で形がブランドとして広く浸透し、使用による識別力が認められて登録に至りました。共通するのは、形を見ただけで商品名が思い浮かぶほどの認知度です。立体商標は、こうした「形がブランドになった」商品で力を発揮します。
詳しくはこちら
特許庁「商標の種類(新しいタイプの商標)」をご確認ください。
出願前に押さえておくべきポイント
立体商標の出願では、識別力をどう示すかが鍵になります。形状が機能由来でないか、似た形がすでに登録されていないかを事前に確認することが欠かせません。使用による識別力を主張する場合は、販売期間や広告実績などの資料も準備します。出願前の先行調査を丁寧に行うことが、拒絶や手戻りを防ぐ近道です。
立体商標の調査・出願を効率化する
商標の調査は、対象が増えるほど手間がかかります。AIを活用すれば、精度を保ちながら調査時間を短縮できます。家具をECで展開する株式会社ベガコーポレーションでは、TM-RoBoの活用で調査スピードを高め、商標確認を効率化しています(導入事例:株式会社ベガコーポレーション)。日用品を手がける小林製薬株式会社でも、調査体制の整備に活用されています(導入事例:小林製薬株式会社)。調べてから出願することが、確実な権利化につながります。
よくある質問(FAQ)
- 立体商標と意匠権はどちらを取るべきですか?
-
長く使うブランドの形なら更新で半永久に守れる立体商標、発売直後の新しいデザインなら新規性を守る意匠権が向きます。両方を組み合わせる戦略も有効です。
- 立体商標は誰でも登録できますか?
-
識別力があり、機能に不可欠な形でないことが要件です。ありふれた形や機能由来の形は登録できません。使用による識別力を示せれば登録の可能性が高まります。
- 立体商標の存続期間はどのくらいですか?
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商標権の存続期間は登録から10年です(商標法第19条)。更新登録の申請により何度でも更新でき、使い続ける限り半永久的に維持できます。
- 商品の形そのものは登録できますか?
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商品として当たり前の形や、機能を確保するために必要な形は登録できません。形に独自性があり、出所の目印として機能する場合に登録の対象になります。
- 立体商標の出願費用はどのくらいかかりますか?
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特許庁へ納める出願料や登録料に加え、弁理士へ依頼する場合は手数料がかかります。区分数などで変わるため、最新の料金は特許庁の公式情報で確認してください。
まとめ
立体商標とは、商品の形や容器といった立体的形状を目印として登録する商標です。1996年の商標法改正で導入され、識別力があること、機能に不可欠な形でないことという2つの要件を満たせば登録できます。立体的な形は識別力が認められにくいため、使用による識別力で登録される例が多いのが特徴です。
商品の形を守る制度には意匠権もあり、目的と存続期間で使い分けます。長く使うブランドの形なら、更新できる立体商標が有利です。出願の前には、似た形がないかを調べる先行調査が欠かせません。TM-RoBoのAI商標検索を活用すれば、調査を効率よく進められます。要件の判断が難しいケースは、弁理士など専門家に相談しながら進めましょう。
詳しくはこちら
e-Gov法令検索「商標法」、「意匠法」、および特許庁「商標の種類(新しいタイプの商標)」をご確認ください。
参考文献・出典
- 出典:商標法 第2条・第3条・第4条・第19条・第25条(e-Gov法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000127 - 出典:意匠法 第21条(e-Gov法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000125 - 出典:特許庁「商標の種類(新しいタイプの商標)」
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/newtype/index.html - 導入事例:株式会社ベガコーポレーション(TM-RoBo)
https://ip-robo.co.jp/tm-robo/case/case-702/ - 導入事例:小林製薬株式会社(TM-RoBo)
https://ip-robo.co.jp/tm-robo/case/case-689/