商標の標準文字制度を解説!メリットとロゴ商標との戦略的な使い分け
目次
大切な会社名やサービス名、しっかり守りたいけど、商標登録ってなんだか難しそう…そう感じていませんか? 費用や手間はできるだけ抑えたいし、ロゴと文字、どちらで登録すればいいのか迷うこともありますよね。
そんなあなたの悩みを解決するヒントが、「商標の標準文字制度」にあります。 この制度を使えば、あなたのブランド名を最小限のコストと手間で、将来の変化にも柔軟に対応しながら守ることができるんです。
この記事では、標準文字制度の基本的な解説から、その大きなメリット、そしてロゴ商標との賢い使い分け方まで、中学生にも分かるように丁寧に説明します。 読み終える頃には、あなたのビジネスにぴったりのブランド保護戦略がきっと見つかるでしょう。
この記事からわかること
- 標準文字商標の基本とロゴ商標との違いがわかります。
- 標準文字登録の費用以外の具体的なメリットを理解できます。
- 標準文字商標の注意点と対策方法を理解し、リスクを回避できます。
- 自社に最適な商標出願方法を選ぶ判断基準が身につきます。
- 初心者でも安心!標準文字商標の出願・登録手順がわかります。
記事を読み終える頃には、商標の標準文字制度を理解し、自社ブランドを将来にわたって賢く守る最適な戦略を選べるようになります。
この記事の監修者
岩原 将文
株式会社IP-RoBo(TM-RoBo運営会社) CEO 弁護士
主として、特許、著作権その他の知的財産権に関する相談、契約、訴訟等を行う。大学・大学院時代には、機械学習に関する研究を行っていた。
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商標の標準文字制度とは?ロゴ商標との違いを3分で理解

「自社のブランド名をしっかりと守りたいけれど、ロゴのデザイン変更や事業拡大で将来的に文字を変える可能性もある…」そんな悩みを抱えるビジネス担当者や経営者の皆様へ。商標登録を検討する上で、知っておきたいのが「標準文字制度」です。この制度を理解すれば、最小限のコストと手間で、将来のブランド展開に柔軟に対応しつつ、事業リスクを低減できる、最適な戦略選択肢となるかを判断できるようになります。
- 標準文字制度とは特許庁が定めた書体で登録する制度
- ロゴ商標との決定的な違いは「権利が及ぶ範囲」
- 【比較表】標準文字とロゴ商標の違いが一目でわかる
- 「標準文字」と「文字商標」は違う?混同しやすい用語を解説
標準文字制度とは特許庁が定めた書体で登録する制度
商標の標準文字制度とは、文字のみで構成される商標について、特許庁長官があらかじめ定めた特定の書体(フォント)で登録する制度です。商標法第5条第3項には、標準文字による商標に係る商標権の設定の登録をするときは、商標登録原簿上に標準文字である旨の記録がされる旨が定められています。これにより、登録された「標準文字」は、その文字そのものに対して権利が及びます。
詳しくはこちら
特許庁「商標法第5条第3項に規定する標準文字について」をご確認ください。
ロゴ商標との決定的な違いは「権利が及ぶ範囲」
標準文字制度の最大の特徴は、登録される権利の範囲にあります。ロゴ商標は、特定のデザイン(図形や色彩など)と文字が一体となった商標です。そのため、権利が及ぶのは、登録されたそのデザインに限定されます。一方、標準文字制度で登録された商標は、文字そのものに権利が及びます。つまり、たとえ同じ文字であっても、デザインが異なればロゴ商標では権利が及ばない可能性がありますが、標準文字として登録されていれば、デザインに関わらず、その文字の使用に対して権利を行使できるのです。
【比較表】標準文字とロゴ商標の違いが一目でわかる
標準文字とロゴ商標の主な違いを、以下の表にまとめました。
| 項目 | 標準文字商標 | ロゴ商標 |
|---|---|---|
| 登録対象 | 文字のみ(特許庁指定の書体) | 文字、図形、色彩などの組み合わせ |
| 権利が及ぶ範囲 | 登録された文字そのもの | 登録されたデザイン全体 |
| デザイン変更への柔軟性 | 高い(文字が変わらなければ権利を維持しやすい) | 低い(デザイン変更で権利範囲外になる可能性) |
| 審査の難易度 | 一般的にロゴ商標より容易な傾向 | デザインの類似性など、判断が複雑になる場合がある |
| 登録費用 | 登録料は標準文字・ロゴで同額(1区分あたり32,000円+印紙代) | 登録料は標準文字・ロゴで同額(1区分あたり32,000円+印紙代) |
※登録料は、特許庁への出願・登録時にかかる費用です。弁理士に依頼する場合は、別途報酬が発生します。
「標準文字」と「文字商標」は違う?混同しやすい用語を解説
「標準文字」と聞くと、「文字商標」と混同しやすいかもしれません。「文字商標」とは、文字のみで構成される商標全般を指します。一方、「標準文字制度」で登録された商標は、その文字が「標準文字」として登録されている、という状態を意味します。つまり、標準文字制度を利用して登録された商標は、文字商標の一種ですが、その権利範囲の解釈において、特筆すべき特徴を持っているのです。この制度を理解することで、将来のブランド展開を見据えた、より戦略的な商標登録が可能になります。
詳しくはこちら
INPIT「標準文字商標とはどのようなものですか。」をご確認ください。
コスト削減だけじゃない!標準文字で商標登録する5つのメリット

- メリット1:コストを抑えつつ文字に関する広範な権利を確保できる
- メリット2:将来のロゴデザイン変更にも柔軟に対応可能
- メリット3:シンプルな文字だけで模倣品・類似サービスを牽制できる
- メリット4:願書作成がシンプルで出願手続きがスムーズ
- メリット5:様々なフォントやデザインでの使用が権利範囲に含まれる
メリット1:コストを抑えつつ文字に関する広範な権利を確保できる
商標登録の際、ロゴデザインを含む「図形商標」に比べて、文字のみで構成される「標準文字商標」は、審査の過程でより広範な保護を受けられる可能性があります。これは、標準文字商標では、指定された文字そのものが権利の対象となるため、文字の組み合わせやデザインに左右されにくいからです。例えば、「ABC」という文字を標準文字で登録した場合、将来的に「ABC」という文字が使われている類似商品・役務に対して、デザインが異なっていても権利を主張しやすくなります。特許庁が定める標準文字の書体で登録されるため、特別なデザイン料もかからず、コストを抑えながらも強力な権利基盤を築くことが可能です。
メリット2:将来のロゴデザイン変更にも柔軟に対応可能
ビジネスの成長やブランドイメージの刷新に伴い、ロゴデザインを変更する機会は少なくありません。標準文字商標で登録しておけば、ロゴデザインを変更しても、登録されている文字自体が保護されているため、改めて商標登録を行う必要がなく、追加のコストや手間を大幅に削減できます。例えば、当初はシンプルな「XYZ」という文字で登録しておき、後から洗練されたデザインのロゴを作成した場合でも、元の「XYZ」という文字による権利は有効です。これにより、ブランド戦略の自由度が高まり、変化に強い事業運営が可能となります。
メリット3:シンプルな文字だけで模倣品・類似サービスを牽制できる
標準文字商標は、そのシンプルさゆえに、模倣品や類似サービスに対する強力な牽制力となります。たとえ、模倣者がデザインを少し変えたり、色合いを変えたりしても、登録された標準文字と類似していると判断されれば、商標権侵害を主張できる可能性が高まります。これにより、事業者が安心してブランドを展開できる環境が整います。
詳しくはこちら
特許庁「商標法第5条第3項に規定する標準文字について」をご確認ください。
メリット4:願書作成がシンプルで出願手続きがスムーズ
標準文字商標の出願手続きは、図形商標に比べて非常にシンプルです。複雑な図形やデザインの説明が不要なため、願書作成にかかる時間と労力を削減できます。これにより、商標登録までの期間を短縮できる可能性があり、早期に権利を取得して事業展開を進めたい企業にとって大きなメリットとなります。出願書類の不備による審査遅延のリスクも低減できます。
メリット5:様々なフォントやデザインでの使用が権利範囲に含まれる
標準文字商標で登録された文字は、登録された書体だけでなく、将来的に使用する様々なフォントやデザインにおいても保護されます。これは、標準文字商標の登録は、文字そのものの識別力に着目して行われるためです。例えば、「ABC」という標準文字商標で登録した場合、ゴシック体、明朝体、手書き風フォントなど、どのような書体で「ABC」を使用しても、権利の範囲内として保護されることになります。これにより、広告、商品パッケージ、ウェブサイトなど、多様な媒体でブランド名を展開する際に、デザインの自由度を保ちながら、商標権の保護を確実なものにできます。
デメリットも理解しよう!標準文字商標の3つの注意点と対策

標準文字商標は、その手軽さから多くのビジネスシーンで活用されています。しかし、その一方で、いくつかの注意点も存在します。これらを理解し、適切な対策を講じることで、より効果的にブランドを守ることができます。
デメリット1:ロゴ特有のデザイン部分は保護されない
標準文字商標は、あくまで「文字」そのものを保護する制度です。そのため、ロゴとしてデザインされた文字の形状、色、装飾といった、視覚的な特徴は保護の対象外となります。
- 【対策】デザインに特徴がある場合はロゴ商標との併用を検討する
もし、あなたのブランド名が、独自のフォントやデザインで表現されている場合は、標準文字商標とロゴ商標の両方で出願することを検討しましょう。これにより、文字そのものと、そのデザインの両方を保護することができます。 - 【対策】デザイン部分のみを別途「図形商標」として出願する
あるいは、文字部分を標準文字商標として登録し、デザイン要素を「図形商標」として別途出願するという方法もあります。これにより、文字とデザインの要素を分けて、それぞれを確実に保護することが可能です。
デメリット2:文字が同じだと他人の商標と類似しやすくなる
標準文字商標は、文字そのものを登録するため、他の商標と文字が同じ、あるいは非常に似ている場合に、類似商標と判断されやすくなります。これは、消費者が混同する可能性があるためです。
- 【対策】J-Plat-Pat等を活用し、事前の商標調査を徹底する
出願前に、特許庁が提供する「J-Plat-Pat(特許情報プラットフォーム)」などのデータベースで、類似商標がないか徹底的に調査することが重要です。これにより、登録の可能性を高め、将来的な紛争リスクを低減できます。 - 【対策】称呼(読み方)が似ている商標にも注意を払う
文字が多少異なっていても、読み方(称呼)が似ている場合も類似と判断されることがあります。そのため、文字だけでなく、読み方についても類似商標の調査を怠らないようにしましょう。
デメリット3:ありふれた言葉など識別力がないと登録できない
商標法では、商品やサービスの種類、品質、原材料などを普通に用いられる方法で表した言葉(普通名称)や、ありふれた言葉など、識別力がないと判断される言葉は商標登録できません。
- 【対策】商品・サービスの普通名称や品質を表す言葉は避ける
例えば、お菓子に「おいしい」、靴に「快適」といった言葉は、そのままでは登録が難しいでしょう。これらの言葉をそのままブランド名にするのは避けましょう。 - 【対策】造語や特徴的な言葉をネーミングに採用する
オリジナリティのある造語や、商品・サービスとの関連性が低い、あるいはユニークな言葉を選ぶことで、識別力を高めることができます。これにより、登録の可能性が大きく向上します。
【実践】標準文字?ロゴ?自社に最適な商標出願の選び方

商標登録を検討する際、「標準文字」と「ロゴ(図形)」のどちらで出願すべきか、悩ましいですよね。どちらの選択肢にもメリット・デメリットがあり、将来の事業展開を見据えた戦略的な判断が求められます。あなたのビジネスに最適な商標戦略を見つけ、大切なブランドを守りましょう。
標準文字での出願がおすすめなケース
「標準文字」とは、文字のみで構成される商標のうち、特許庁長官があらかじめ定めた書体で表示されるものを指します。商標法第5条第3項によれば、標準文字による商標権の設定登録がされると、商標登録原簿や公報にその旨が記録されます。標準文字での出願が特に有効なのは、以下のようなケースです。
- ブランド名(商品名・サービス名)を最優先で保護したい場合
例えば、「アップル」という名称そのものを保護したい場合、標準文字で登録しておけば、たとえデザインが変更されても、名称が似ているだけで類似商標と判断されやすくなります。 - 将来的なデザイン変更や多言語展開を見据えている場合
ロゴのデザインは変更する可能性がありますが、ブランド名は不変であることが多いです。標準文字で登録しておけば、デザイン変更による権利範囲の縮小を心配する必要がありません。 - 出願・登録コストを抑えたい場合
一般的に、標準文字での出願は、ロゴ商標に比べて審査が通りやすい傾向があり、登録までの期間も短くなる可能性があります。 - 文字の読みやすさ、覚えやすさを重視する場合
シンプルで分かりやすいブランド名は、顧客に強く印象づけることができます。標準文字は、まさにその「名前」そのものを保護するのに適しています。
詳しくはこちら
特許庁「商標法第5条第3項に規定する標準文字について」およびINPIT「標準文字商標とはどのようなものですか。」をご確認ください。
ロゴ商標での出願を検討すべきケース
一方、ロゴ商標での出願は、ブランドの「視覚的な個性」を保護したい場合に強力な手段となります。ロゴ商標での出願が適しているのは、以下のようなケースです。
- デザイン性の高いロゴで差別化を図りたい場合
独自のフォント、色使い、シンボルマークなど、ロゴそのものがブランドの重要な識別要素となっている場合です。 - 特定のデザインに強い愛着や投資をしている場合
長年使用してきたロゴや、デザイナーに依頼して作成したこだわりのロゴなど、そのデザイン自体にブランド価値が宿っている場合、ロゴ商標での保護が重要になります。 - 競合他社が類似のデザインを使用することを防ぎたい場合
ロゴ商標で登録しておけば、登録されたデザインと類似するデザインの使用を差し止めることができます。 - 文字だけでは表現しきれないブランドイメージを伝えたい場合
抽象的なシンボルや、独特のイラストなどで、ブランドの世界観やコンセプトを表現している場合は、ロゴ商標が適しています。
ただし、ロゴ商標は、デザインのわずかな変更でも類似性が否定される可能性があるため、権利範囲の解釈には注意が必要です。
最強の戦略は?標準文字とロゴの「両方どり」という選択肢
ここまで、標準文字とロゴ商標のそれぞれのメリットを見てきました。しかし、最も強力なブランド保護戦略は、この両方を組み合わせる「両方どり」という選択肢です。具体的には、以下の2段階で出願することを推奨します。
- 【第一段階】標準文字での出願:まず、ブランドの「名称」そのものを標準文字で登録します。これにより、将来的なデザイン変更や表記ゆれに左右されず、ブランド名そのものを広く保護することができます。
- 【第二段階】ロゴ商標での出願:その後、デザイン性の高いロゴや、ブランドを象徴するシンボルマークをロゴ商標として別途出願・登録します。これにより、デザインそのものの独自性も保護し、競合他社による類似デザインの使用を効果的に防ぐことができます。
この「両方どり」戦略をとることで、ブランドの名称とデザインの両面から、盤石な権利保護体制を築くことができます。初期費用はかかりますが、将来的なブランド価値の向上とリスク回避を考えれば、非常に効果的な投資と言えるでしょう。商標登録には、出願手数料や登録手数料などが発生します。例えば、標準文字とロゴ商標をそれぞれ1区分で出願・登録する場合、特許庁への費用は概算で数万円程度からとなります(弁理士に依頼する場合は別途費用がかかります)。自社のブランド戦略と照らし合わせ、どの方法が最適か、専門家である弁理士に相談することも有効な手段です。
初心者でも安心!商標を標準文字で出願・登録する全手順

商標登録を検討しているけれど、「ロゴマークも文字も両方登録すべき?」「どうやって手続きを進めるの?」と悩んでいませんか?今回は、そんな疑問を解決するために、商標の「標準文字制度」について、出願から登録までの全手順を分かりやすく解説します。
ステップ1:【最重要】先行商標調査のやり方
商標登録の第一歩にして、最も重要なのが「先行商標調査」です。これは、あなたが登録したい商標と似たような商標が、すでに登録されていないかを確認する作業です。もし、似たような商標がすでに登録されていると、あなたの商標は登録できない可能性が高くなります。調査は、特許庁が提供する「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」という無料のオンラインサービスを使って行います。類似商標がないかを念入りにチェックしましょう。
ステップ2:願書の作成と「標準文字」の指定方法
先行商標調査で問題がなければ、いよいよ願書を作成します。願書には、商標の名称、権利者、そして指定商品・役務(サービス)などを正確に記載する必要があります。ここで重要なのが、「標準文字」として出願することです。願書の「商標」欄に、登録したい文字をそのまま記載し、書式指定で「標準文字」であることを明確に示します。これにより、特定のデザインやフォントに縛られず、文字そのものの権利として保護されるようになります。
詳しくはこちら
INPIT「標準文字商標とはどのようなものですか。」をご確認ください。
ステップ3:出願から審査、登録査定までの流れ
願書を提出したら、特許庁による審査が始まります。審査官は、提出された商標が法令に適合しているか、そして先行商標との類似性がないかなどを確認します。もし、登録要件を満たしていると判断されれば、「登録査定」となり、商標権の設定登録へと進みます。審査期間は、一般的に6ヶ月から1年程度かかりますが、時期によって変動する可能性があります。登録が認められると、商標権が発生し、あなたのブランド名が法的に保護されることになります。
出願・登録にかかる費用と期間の目安
商標の出願・登録には、一定の費用と期間がかかります。まず、出願料は1区分につき12,000円(税込)です。そして、登録が認められた場合には、登録料として区分数×32,900円(1区分=32,900円)かかります。これらの費用は、特許庁の公式サイトで最新の情報をご確認いただけます。出願から登録までの期間は、前述の通り、通常6ヶ月から1年程度を見込んでおきましょう。標準文字制度を活用することで、ロゴデザインにかかる費用や時間を削減しつつ、将来的なブランド展開の自由度を高めることができます。
商標の標準文字に関するよくある質問(Q&A)

- Q. 標準文字で登録後、ロゴデザインを付けて使用しても大丈夫?
-
はい、基本的には大丈夫です。 商標法第5条第3項に基づき、標準文字で登録された商標は、その文字自体に権利が発生します。そのため、登録した標準文字をベースに、ロゴデザインを加えて使用しても、原則として権利侵害にはなりません。ただし、ロゴデザインが標準文字から著しく逸脱し、第三者の商標と混同されるおそれがある場合は、注意が必要です。詳しくは特許庁のウェブサイトでご確認ください。
- Q. アルファベットとカタカナ、どちらで出願すべきですか?
-
どちらで出願すべきかは、将来のブランド展開や、どのような表記で商標を認知させたいかによります。アルファベットで出願すれば、英語圏での展開も視野に入れやすく、カタカナで出願すれば、国内での発音のしやすさや、親しみやすさを重視できます。どちらの表記で登録しても、その文字自体に権利が発生しますが、使用する際には、登録した表記に準じることが望ましいです。INPITのFAQでは、標準文字商標の定義について解説しています。
- Q. 標準文字として認められない文字はありますか?
-
はい、標準文字として認められない文字もあります。例えば、図形や記号、装飾性の高いフォントで構成された文字、あるいは、一般的ではない特殊な文字や記号は、標準文字として登録できない場合があります。特許庁長官があらかじめ定めた文字書体によるものを、標準文字として公表し登録する制度のため、文字そのものの識別性が重要となります。出願前に、どのような文字が標準文字に該当するか、事前に確認することが大切です。
- Q. 標準文字で登録した商標は、本当にどんなフォントで使ってもいいの?
-
原則として、標準文字で登録された商標は、どのようなフォントで表示しても権利は保護されます。これは、商標権の保護対象が「文字」そのものであり、フォントに限定されないためです。しかし、あまりにも登録した標準文字からかけ離れたフォントや、デザイン性の高いフォントを使用すると、第三者との混同を招くリスクが高まります。商標法第5条第3項の趣旨を踏まえ、登録した標準文字の表示態様から著しく異ならない範囲での使用が、事業リスクを低減する上で推奨されます。
まとめ:標準文字制度を戦略的に活用し自社のブランドを賢く保護しよう

商標の標準文字制度は、事業者の皆様が自社のブランド名を将来にわたって柔軟かつ強力に保護するための、非常に有効な選択肢となります。この制度を活用することで、最小限のコストと手間で、ブランド名の変更や展開に左右されない、普遍的な商標権の取得が期待できます。
標準文字制度とは、文字のみで構成される商標のうち、特許庁長官があらかじめ定めた書体で登録されるものです。商標登録原簿には「標準文字である旨」が記録され、公報にもその旨が記載されます。
詳しくはこちら
特許庁「商標法第5条第3項に規定する標準文字について」およびINPIT「標準文字商標とはどのようなものですか。」をご確認ください。
標準文字商標の最大のメリットは、その「包括的な保護範囲」にあります。文字のデザインやフォントが変わっても、登録された文字そのものが同一であれば、商標権の効力が及びます。例えば、「ABC」という文字を標準文字で登録しておけば、将来的に「ABC」をゴシック体で使おうが、明朝体で使おうが、あるいは手書き風の文字で表現しようとも、権利を主張できる可能性が高まります。これは、ロゴ商標のように特定のデザインに限定されないため、ブランド名の変更やリブランディングの際に、改めて商標登録を検討する手間やコストを大幅に削減できることを意味します。
そのため、自社のブランド戦略に合わせて、標準文字制度とロゴ商標を「戦略的に使い分ける」ことが重要です。例えば、コアとなるブランド名(商品名やサービス名)は、標準文字で登録し、将来の展開に備える。企業のロゴマークなど、デザイン性が重要なものは、別途ロゴ商標として登録する。というように、保護したい対象と目的に応じて、最適な方法を選択しましょう。標準文字制度を賢く活用することで、事業リスクを低減し、将来のブランド展開をスムーズに進めることができます。ぜひ、この機会に自社のブランド保護戦略を見直し、標準文字制度の導入を検討してみてください。
よくある質問
- Q1: 標準文字で商標登録すれば、どんなデザインのロゴを使っても権利で守られますか?
-
標準文字で保護されるのは、あくまで「文字」そのものです。ロゴの特別なデザイン部分までは保護されません。しかし、ロゴの中に登録した文字が含まれていれば、その文字部分については権利が及びます。将来ロゴデザインを変更しても文字の権利は維持されるため、ブランドの核となる名前を長く守れるのが大きなメリットです。
- Q2: 先に標準文字で登録して、後からロゴのデザインを別で商標登録することはできますか?
-
はい、可能です。これは非常に有効な戦略です。まず費用を抑えられる標準文字でブランド名を広く保護し、事業が軌道に乗ってから、固まったロゴデザインを追加で登録することで、より強固な権利を築けます。段階的にブランド保護を強化していく方法として、多くの企業が採用しています。
- Q3: うちのブランド名はアルファベットですが、カタカナでも出願した方がいいですか?
-
はい、両方で出願するのが最も安全です。お客様がアルファベットで認識する場合と、カタカナで呼ぶ場合の両方を想定する必要があるからです。もし予算的に一つに絞るなら、お客様が最もよく使うであろう表記で出願するのが基本です。自社のターゲット層や呼ばれ方を考慮して判断しましょう。
- Q4: 将来、ロゴデザインをリニューアルする可能性があります。それでも標準文字で登録すべきですか?
-
そのような場合にこそ、標準文字での登録が非常に有効です。標準文字で名前そのものを登録しておけば、将来ロゴのデザインを何度変更しても、ブランドの根幹である「文字」の部分は保護され続けます。デザインの変更に左右されず、安定して権利を維持できる点が大きな強みです。
- Q5: 標準文字で登録した場合、権利の範囲はどこまで及ぶのでしょうか?似たような読み方の商標も排除できますか?
-
商標権の範囲は、「見た目」「読み方」「意味」の3つの観点から総合的に判断されます。そのため、文字の見た目が違っていても、読み方(称呼)が同じ、または非常に似ている場合は、ご自身の権利が及ぶ可能性があります。これにより、紛らわしい名前の模倣品などを排除できる場合があります。
- Q6: 出願手続きの途中で、やっぱりロゴ商標に変更したくなったらどうすればいいですか?
-
残念ながら、一度出願した内容を標準文字からロゴ商標へ変更することはできません。この場合、新たに出願し直す必要があります。出願手数料も再度かかってしまうため、どちらで出願するかは事前にしっかり検討することが重要です。迷った場合は、弁理士などの専門家へ相談することをおすすめします。
参考文献
- https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/index.html
- https://www.jpo.go.jp/system/basic/trademark/index.html
- https://www.jpaa.or.jp/intellectual-property/trademark/
- https://faq.inpit.go.jp/FAQ/2024/01/000036.html
- https://www.harakenzo.com/standard_character/
- https://trademark.ip-kenzo.com/first_tm/standard_character/
- https://naratrademark.jp/word/
- https://fujikipat.com/文字だけの文字商標の商標登録についてのポイン/