#05 福島特許事務所さま

地方事務所こそ、経験と能力をより強力にサポートする「TM-RoBo」を

はじめに

今回は、沖縄県那覇市の福島特許事務所 弁理士の西平 守秀先生にオンラインにて取材をさせていただきました。TM-RoBoの導入による調査の具体的な変化や活用方法、地方の弁理士事務所ならではの想いをお聞きしています。

「地方や小規模事務所の弁理士ほど、TM-RoBoはよりマッチングしてるのではないかと思います」と仰ってくださいました。その理由を、是非ご一読の上、お確かめください!

 

※敬称略
調査の実態と変化

弊所は、所長の福島と私(西平)の弁理士2名に加え、事務員3名が所属しています。商標に関しては、まず私が、お客様の希望する商標の指定商品などをヒアリングをし、その上で商標担当の事務員が調査を行い、ダブルチェックとして最終確認で再度私が対応しています。

私は、元々は特許が専門でしたが、8年前に本土から沖縄に帰ってきた際に、やはり地元では特許だけではなく幅広く対応する必要があると考えました。専門外の商標に関しては、ある程度の重要ポイントなどは分かりますが、瞬時に詳細な判断を下すことまでは難しく、お客様と何度か<ヒアリング>⇔<調査>を繰り返していました。

しかし、TM-RoBoの導入により、お客様のヒアリング時にiPadを用いてTM-RoBoの検索結果を参考にすることで、ヒアリングそのものの精度・速度が随分上がりました。繰り返し行っていた<ヒアリング>⇔<調査>のラリーの数も格段に減り、無駄なキャッチボールがなくなりました。瞬時に、「これはちょっと難しいので、ちょっと考えませんか?」と提案できるので、何度もお客様とのミーティングをセッティングする必要もなくなり、明らかにラリーが減っています。使用し始めて数ヶ月ですが、この結果には私自身も大変驚いています。

 

 

TM-RoBoの具体的な活用方法

基本的には、私がお客様の<ヒアリング>と事務員の調査後の<最終確認>の2か所で使用しています。

まずはヒアリング時ですが、ご相談いただいた商標に対し、ある程度の“あたり”を付けた上で、TM-RoBoの結果を参考にし、明らかに申請が困難だと判断したものを除き、詳細な商標調査を行っています。

詳細な調査については、まずは商標担当が行うもので2種類。一つは、文字商®(拒絶文字商標集)が出している、過去の拒絶理由を含めたデータベースです。まずはここで「識別力」を見ています。もう一つは、弊所の独自のノウハウによるツールで調査を行っています。それらの調査を終え、私自身で最終調査を行うのですが、その中の妥当性のチェックの際に再度TM-RoBoを用いています。

TM-RoBoを導入し上記のやり方に変えてから、指定商品・指定役務の「4条1項11号」や「3条1項3号」に加えて「4条1項16号」など一般的な拒絶理由を受けることが体感としてなくなったことに大変驚愕しております。

商標担当による調査時に拒絶理由に相当する事由が発見されたり、出願後に拒絶理由が出された場合、全て私まで報告が来るのですが、ヒアリング時の前捌きと最終調査でのダブルチェックでTM-RoBoを使わせていただいてからは、商標担当者の段階までで拒絶理由に相当する事由が潰せており、私の最終調査ではこれらが発見されることはほぼなくなったように感じています。

また、TMーRoBoを数ヶ月使用しましたが、TM-RoBoの検索結果は、調査担当者や私の調査結果と大きくずれていないということもわかってきました。

TM-RoBo導入後、すでにお客様から喜びのお声もいただいていますし、ヒアリングの際にTMーRoBoを用いてある程度あたりをつけてより具体的なご提案をしたり、またご依頼後は「弊所では、商標専門のスタッフが調査を行い、かつ、AIでもダブルチェックをしてます」とお伝えすることで、先進的な姿勢を感じていただき、お客様の弊所への信用度が確実に上がっていると感じています。

 

福島特許事務所 弁理士 西平 守秀先生(右)
株式会社IP-RoBo CEO 岩原 将文(左)

 

地方事務所からみる「TM-RoBo」の存在

やはり大手事務所であれば、商標も専任の方がいて大量の調査にも対応できると思いますが、我々のような地方事務所は、メインに特許、商標はサブということが多いと思います。だからこそ、TM-RoBoはとても良いと思いました。

商標に関して、ある意味“経験”を補ってくれる。

AIによるデータベースを元にした確率を出していただけるというのは、私としてはとても参考になっています。特に、弊所においてはダブルチェックはもちろん、ヒアリング時に、iPad上でお客様と一緒にTM-RoBoの検索結果を見ながら、「お客さん、ちょっとこれ厳しいかもしれないです。」「こういう判断が出ているので、指定商品・指定役務を考えるか、あるいは商標そのものを考え直す必要がありますね」と、その場で判断してご提案をできるというのはとても心強いです。

今は、私がヒアリングとダブルチェックの際に使っていますが、今後、商標調査の依頼が増えていけば、商標担当も使えるようにさらに環境を整えようと考えています。商標担当もTM-RoBoを使うことによって業務効率化を図ることができれば、事務員の方々にも特許調査など、よりクリエイティブな仕事をお願いできる時間が増えるのではないかと期待をしています。

弊所としては、単に商標を取るということだけではなく、やはりきちんとお客様の事業を5年10年先も見据えてできる限り費用の負担は少なくして、守っていくことを重要視しています。だからこそ、ヒアリングや丁寧な提案など、お客様に寄り添うことを大切にしています。

沖縄あるあるですが、ちょっと歩くとみんな知り合いなんです。何かどこかに繋がって知り合いの知り合いというような。地元ならではですね(笑)だからこそ、お客様と共に事業やサービスを育てていくことが大切だと思っています。

また、TM-RoBoの「類似群コード検索機能」は、類似群コードを検索するのに大変便利な機能ですが、これだけにとどまらず、出願時の指定商品・役務を考えるうえでもとても有効に利用することができます。お客様の希望だけを商標調査するのではなく、TM-RoBoの「類似群コード検索機能」を用いて、お客様にとって本当に必要と考えられる指定商品・指定役務の提案まで行うことができます。

我々弁理士、TM-RoBo、お客様の三者でブランド戦略を一緒に作っていくことができます。これまでの従来型の商標調査から、先進的戦略的な商標コンサルティングに脱却できたと実感しています。まさに、人にしかできないコンサルティングコミュニケションというところに注力するためには、TM-RoBoのようなツールは必要なのではないかと思います。

 

TM-RoBoを知ったきっかけ

前々から、AIを業務に取り入れたいという気持ちがあったのですが、大きなきっかけは、沖縄に帰ってきたときでしょうか。

東京の特許事務所にいたときは、知財部の方々とのやりとりがメインでしたが、沖縄ではほとんどが中小企業の社長さんや起業家の方々。お客様の事業にコミットするような提案を行うようになったこともあり、正直、業務量も増えてきましたので、特許調査や商標調査はできる限り効率的にして進めるためにAIの導入に踏み込みました。

まずは特許のAIツールを利用してみたところ、良い感触だったので、商標の効率化も検討し始めました。色々なツールを試しましたが、TM-RoBoが、各段に精度が高いと実感しましたので、導入に至りました。お客様により細かい提案をしようとした時にその違いが如実に現れたので、TM-RoBoはプロ向けだと私は感じています。使い方が難しいという訳ではなく、我々専門家にとって非常にかゆいところに手が届くという感じです。個人的には、他社ツールと比べて、全く別物という印象ですね。

 

 

今後について

これはもう本当に手探りです。組織的にIT化を進めることは、素晴らしいと思っているので、あとは、どのように運用していくか、どういうプロセスの中で使って行くかということを常々考えています。

効率化だけを考えて、全てAIで解決ということではなく、やはりお客様の視点に立ち、商標を登録するだけでなく、管理や登録後のケアまで安心できるサポートを提供したいので、AIとは良い補完関係になれたらと思っています。前捌きのような、手間がかかるところはAIに、最終判断は専門家が行う。最近は、特許庁もAIを活用して審査の効率化を図っていますし、やはり役割分担が重要だと個人的には考えています。

 

 

地方の事務所、小規模事務所こそTM-RoBoを

繰り返しになってしまいますが、お客様のご相談をより丁寧に受けるためにも、TM-RoBoは活用できる、いや、これからは活用するしかないと思います。地方や小規模事務所の弁理士は、いかにお客様に寄り添った提案ができるかというところが肝になってくると思いますので、お客様との会話の中でTM-RoBoをうまく活用することで、信頼を築き、また次の展開にも繋がる。これは、私自身が肌で実感しています。

あとは、地方や小規模事務所の弁理士の特殊性として、都会や大規模事務所とは異なり、分業されてないので、各自がオールマイティに対応していく必要があります。そのときに必要な経験や能力をTM-RoBoに補ってもらえるのは、大変頼もしいかぎりです。新しいツールを取り入れるということにハードルを感じる方もきっといらっしゃると思うんですけど、そこを抜けたら、我々のような地方や小規模事務所の弁理士ほどよりマッチングしてるのではないかと思います。

 

(取材日:2022年6月13日)