#07 小林製薬株式会社さま

【イベントレポ】小林製薬株式会社×株式会社IP-RoBo

2023年9月13日〜15日に3日間開催されました《2023特許・情報フェア&コンファレンス》にて、今年はブース出展と併せて、出展者プレゼンテーションにも参加させていただきました。

ゲストに、近年の国内商標登録件数で常に上位の小林製薬株式会社様をお招きし、トークセッション形式でお届けいたしました。初めての試みではございましたが、ほぼ満席となるほど、多くのお客様にご来場いただきました。ご来場のみなさま、誠にありがとうございました。

 

当日の会場の様子

 

今回は、当日ご来場いただけなかった方に向けて、トークセッションの内容をレポート形式でお届けいたします!
いち早く商標業務のDX化に取り組み、成果を出されている小林製薬様によるTM-RoBo導入に至った経緯や効果について、ぜひご一読くださいませ。

 

 

小林製薬株式会社における
商標AIサービス活用のインパクト

 

商標AIサービス導入のきっかけ

岩原:導入から2年半ご利用いただいておりますが、最初にご連絡をいただいたのは、3年以上も前になります。まだまだ商標AIの認知が低かった当時、ご導入を検討されたきっかけはなんだったのでしょうか?

 

鈴川様(以下、敬称略):事業の拡大に伴い、商標の出願・調査件数が増えたことで、既存の人員だけでは業務が回らなくなりつつあったので、業務改善が必要だということで検討し始めました。

ちょうどその時に、特許のクリアランス調査をAIでできないかと検討を開始していたため、AIの得手不得手みたいなものの感度はつかみ始めていました。商標調査とAIは相性が良いのではないかと感じていた中で、様々なニュースで商標調査にAIを活用するという情報を見て、弊社も工数削減のためにAIによる商標調査を検討することになりました。

 

 

AIサービスに対する不安

岩原:最初にご連絡いただいた当時、まだまだ商標調査にAIサービスを使うというのは一般的ではなかった中で、導入に際しての不安はありましたか?

鈴川:もちろん不安はありました。AIに頼ることで一番怖いのは、他社の商標を侵害してしまうリスクです。AIにどのような技術が使われていて、何がどうなってその答えを導き出しているのかが見えない、という点が一番不安でした。もちろん100%漏らさないというのは、ヒトもAIも同じで難しいですが、あまりにも穴があるようではリスクが高いので、使えないだろうと考えていました。

 

 

商標AIサービスの比較について

岩原:AIブーム中ではありましたが、商標AIは認知されていなかったので当然だと思います。導入にあたり、当社を含め、複数のAIサービスを比較検討されたのでしょうか?

鈴川:当時、他社からリリースされていた商標AIは全て試してみました。他社様がどうかというのはこの場では差し控えさせていただきますが、TM-RoBoでの調査結果が、当社の調査の類否判断における基準に最も近い印象を持ちました。

 

 

導入前のTM-RoBoへの印象

岩原:本格導入を検討されている企業や弁理士の方には、事前にトライアルを実施していただいています。小林製薬様にも、無料トライアルを行っていただきましたが、TM-RoBoの精度については、どのように評価されましたでしょうか?

竹野様(以下、敬称略):まずは無料トライアルで、過去に事務所に依頼していた調査結果約300件と、TM-RoBoでの調査結果を比較検証しました。その結果、何件か検討が必要な他社商標を見逃してしまったものはあったものの、思っていたよりも事務所の判断と合致している印象でした。

また、漏れた案件のうち半数ほどは、部分一致検索を行う機能があれば防げたと考えました。そこで、岩原さんに部分一致検索の追加開発についてご相談したところ、快諾いただいたので、それであれば少なくとも社内調査であれば十分使えるレベルであると判断いたしました。

 

TM-RoBoの導入効果

岩原:導入後のご状況についてお聞かせいただきたいと思います。導入いただいてから2年半が経過しました。長期に渡ってTM-RoBoを使用いただきましたが、商標調査実務にはどのような影響がありましたか?

鈴川:検索結果を似ている順に並べ替えてくれるので、類似している商標を見逃すことはほぼなくなりました。それが一番大きな変化です。

 

岩原:TM-RoBoの調査結果を利用して、実際に出願された結果はいかがですか?

鈴川:称呼が明確なケースで、TM-RoBoの検索結果で類似が全くないという結果のときは、4条拒絶されるということはまずないというのが、今まで使ってきた中での印象です。

 

岩原:TM-RoBoは、可能性としての数値を表示するだけで最終判断は行わないのですが、小林製薬様はTM-RoBoを使ってどのように判断されているのですか?

竹野:類否に関しては、TMR(※)が90%以上であれば、類似するものがないと基本的に判断しています。ただ、ほんの少しでも90%を割っているものに関しては、注意するようにしています。

(※)称呼の観点からみたオリジナル性を意味する指標。高い値を持つほど、他に類似する出願登録商標が見当たりにくいことを意味します

 

岩原:TM-RoBoを導入したことで、調査効率はどれくらいあがりましたか?

鈴川:まずは純粋に、調査のスピードがかなり上がっています。調査にかかる時間は社内システムと連携させたこともあり、導入前の約1/3程度まで圧縮が出来ていると感じています。特に、称呼がたくさん考えられるもの、漢字やアルファベットなど色々な組み合わせが考えられる長い称呼の場合のスピードが全然違うと思います。

私は、知財担当者が行った調査結果を確認して、問題がなければ承認する業務を行っていますが、類似商標の有無が一目で分かるので、私自身の確認作業がとても楽になりました。

 

岩原:本格運用開始と同時に、より一層DX化を進めたいという小林製薬様側の要望を受け、APIを用いた連携システムを構築しましたが、具体的にどのような変化が起きましたか?

 

竹野:弊社の場合、社内で商標のやりとりを行うシステムがあり、マーケ部門が考えた商標をシステムを経由して一括で調査の依頼が来ます。それを知財担当者がJ-PlatPatでさまざまな組み合わせを手作業で入力して調査し、結果をPDF化してシステムにアップロードして、それぞれの商標について細かくコメントを入力していました(左図)。これだけで午前中の業務が全て費やされてしまうということも多々ありました

TM-RoBoとの連携後(右図)は、マーケ部門の担当者が入力した商標を、ボタン一つでTM-RoBoに取り込めるようになったので、知財の担当者は都度入力する作業はなくなりました。また、複数の組み合わせに関してもTM-RoBoを活用することで、一度に調査出来るようになりました。

TMRなどの調査結果も、商標調査システム画面に読み込むという連携ができたことで、一目でリスクの有無が確認できるようになり、圧倒的に調査・確認における業務の短縮がされていると思います。

私自身が当初イメージしていた通りの連携ができてとても満足しています。

 

 

最後に

岩原:本日は貴重なお話、誠にありがとうございました。最後にTM-RoBoの今後に期待することがあればお聞かせください。

鈴川:精度面に関しては、私は非常に満足しております。ただ、料金に関してはもう少し負担を軽くしていただけたら、みなさまも助かるのではないかと思います。料金が安くなると1社あたりの負担も軽くなり、多くの企業に使ってもらえると思います。今まで商標調査を満足にできなかった企業もTM-RoBoを使って商標調査ができると、商標業界全体として健全な状態が保てると思います。料金については、引き続き検討していただければと強く思っています。

岩原:ありがとうございます。導入ユーザ様も増えてきていますし、本日のセッションでまたユーザ様が増えることを期待しています。ユーザ様が増えれば、弊社としても料金を安くして多くの方にご利用いただけるように検討していきたいと思っております。

 


小林製薬株式会社 法務知財部知的財産第2グループ 課長 鈴川様、主任 竹野様
株式会社IP-RoBo 代表 岩原(左から)